建築家の本分の一つに予算との戦いがある。

 実施設計後に見積り依頼となり、施工社と施工金額を決定することになるのだが、これがなかなか手ごわい。施工業者決定のために1社見積りと相見積り(入札形式)があり、その方法はクライアントの考えにより決める。そして最近では多くの場合施工会社決定後に、仕様調整等により施工金額の調整を図ることになる。

 仕様調整等の設計変更はできるだけ避けるべきと思うのだが、なかなか思うようにならない。それはクライアントと建築家だけでは決められないからである。さらに金額は生き物のようで材料や単価は様々な状況により変化する事や、いろいろな工務店さんにお願いするため見積り形態が異なる事や、建築家がクライアントと同じように少しでも良い建物を建てたいとの欲望があるため等があると思う。結果様々なストレスと戦わなければならなくなる。

 20年以上も職とし、予算コントロールが旨くいかないなどは情けない話なのである。しかしそれが建築家たらんところであるとも思う。
 建築に純粋であればあるほど「挑戦」という行為は欠く事が出来ない事であり、「限りある予算内でいかに良い建築にするか!」なのである。予算との戦いこそ建築家が本来尽くすべきつとめの一つである・・・と心を奮い立たせ、明日も工務店さんに「そこを何とかお願いします」と頼みに行くことにしました。
 
 建築をやっている以上、心穏やかに暮す事は難しいようです。
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