監理業務をする中で、重要な事でありながら、
ちょっと注意が不足すると起こりやすいと感じる事柄があります。
今回は「耐力壁の面材」の施工について書かせていただきます。

つい最近もそのような事例に遭遇しました。
どんな面材を使うかも大切ですが、留める釘もとても重要です。

施工会社の現場代理人より「壁の構造面材の施工が完了しましたので、
確認をお願いします」との連絡を頂き、現場に行きました。

施工の状況を見て、何だか「違和感」を感じました。
釘の打ち方、間隔は完璧でしたが、釘の頭が「小さい」のです。
「これ、指定の釘? 指定の釘じゃないんじゃないですか?」と
現場代理人に確認すると、
「いえ、指定の釘だと思いますが・・・」とちょっと心許ない返事。
すぐに「使った釘の箱を持って来い!」と現場の大工の親方に代理人は指示。
その箱を見るまでもなく、それは指定した釘でないことは分かりましたので、
その場で釘を指定の物で打ち直しするよう指示しました。

構造的な部分に使用する釘は太目釘と言って、一般的な釘より
少し太い釘を使います。
長さは同じでも、指定の釘でないと規定の耐力が出ないという
現象が起こります。
これは実物実験でもはっきりしている事です。

釘の管理を大工さん任せにしてしまっていて、
且つ、その大工さんがあまり面材の耐力壁の経験がないと
起こる可能性のある事柄です。
この現場では、現場代理人もそのような知識が不足していたようで、
普段、自社の監理で行っている現場では、
そのまま竣工してしまうという危険性も考えられます。

更に、注意が必要なのは、その釘のめり込みです。
釘の頭が面材の面より中に食い込んでしまう現象です。

今は釘打ちは機械打ちが一般的で、機械での打ち込みでは、
時として、このめり込みが起こりやすい傾向があります。
めり込みにより、やはり規定の耐力が出ない状況となります。
構造的な面材の場合、手打ちが最高ですが、
機械で打ち込み場合は、ある程度まで打ち込んで、
最後は手で打つという配慮が必要です。