雑誌などで、構造体を表した「木組みの家」を見て「いいな~」と思っても、予算を考え二の足を踏まれている方も多いのかもしれません。

私のように設計をする立場で「木組みの家」をつくりたいと考えている人間が居るように、施工する立場でも同様に考えている方々もおられます。そして、一番大きいのが「木組みの家」を建てたいと切望している建て主の「想い」です。
同じ「想い」を持つ三者が集まった時、もう「木組みの家」は産声を上げたも同然です。

設計者や施工者は、建て主がお金を出してくれて初めて、構想を練ったり、つくったり出来るのです。ですから、基本は建て主の出せる予算枠。
設計者は与えられた予算枠で、少しでも良いものが実現出来るように、当然努力をします。予算枠に上手く収めるという考えより、少々無理を承知で「一段上」をついつい目指します。
その為に、後で色々と苦労する事は分かっていても、ついついそうしてしまうのです。それが、職人気質。

そんなこんなで、構想は設計図として纏められ、建て主も未だ見ぬ「木組みの我が家」にワクワクしています。
もちろん、それまでに「それは予算を考えると難しいです」と設計者にきっぱりと言われ、諦める「夢」の欠片も幾つかは出てきますが、そんな波を越えて、「削られる」という感覚より、その頃には、自分達の中で本当に叶えたいものが整理されるという感覚になっています。

設計者は「木組みの家」をつくりたいと考えている施工会社数社に見積をしてもらいます。
その段階では、設計者としての見積は既に纏まっていて、その金額が施工会社の出す金額とどうなるのかを見る形となります。

提示された設計図を元に、各施工会社は見積作業をします。競争意識の中、「つくりたい!」という気持ちが一番強い所が、間違いなく頑張ってくれます。
もちろん、頑張ってくれた結果として、予算枠にすっぽりと収まってくれれば、万々歳!
でも、前述の如く「一段上をついつい目指す」設計者の「欲」のため、調整作業に苦労することも少なくありません。

自分の提示した予算という枠で、設計者も施工者も懸命に努力している姿を見て、建て主が感じるのは「納得感」という事になるのではないかと思います。

そんな流れで、予算枠の「木組みの家」は実現するのです!