第5回旅館甲子園グランプリを獲得した
『油谷湾温泉ホテル楊貴館』さん
http://www.hotelyokikan.jp

そのホテルリノベーションが完成を迎えて
日本酒BAR『海と月』とメディアルームが、
4/1から一般宿泊客の皆さんへのお披露目が始まりました。

昨年の6月に初めて長門市油谷を訪れてから9ヶ月あまり・・・
色々な出会いとご縁が繋がって、
楊貴館の岡藤社長と岡藤取締役と出会うことができて
このプロジェクトに参画させていただきました。

静岡県産杉材のJパネルスリット加工によるパテーションは
このお話しを伺った時からイメージが浮かんだのですが、
時間的、コスト的制約を考えて、
地元静岡の丸天星工業さんとルーター会社のコラボとして、
楊貴館さんに直接購入していただくことにしました。

このため設計・拾い・積算・見積・発注・生産・発送を
すべて私の方でコントロールして、
全体の工程に合わせて、山口の工務店へ運搬しました。
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202101/article_4.html

この方式は那須の保養所での経験をさらにバージョンアップしています。
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202003/article_6.html

パテーション設置による面積を少なくするという条件で
ホテルの内装制限から外すことが可能になることが分かり、
エントランスホールからロビー、喫茶コーナーへの動線の
ポイントポイントに設置して、
日本酒BARへの人の流れを誘導させています。


ロビーに面した既存の喫茶コーナーにある木製カウターや扉を
モラートで塗ることで無機質化して
腰壁と横壁のJパネルとのコントラストによって
日本酒BARへの導入空間を創り出していますが、
これも最小限の手直しで効果を出しています。
Jパネルの壁に取り付けてある山口県の地図は
日本酒BAR入口の切り抜きを使用したもので、
土塗りのひび割れを大きくして
その中に漆喰が塗り込んでいるという、
非常に手の込んだ仕様ですのでお見逃しなく。


日本酒BAR『海と月』の暖簾をくぐりますと
全面に広がる油谷湾の大パノラマを前に
レストスペースと小上がりの間が連続します。
ここの床はすべてフッコーのモラートと呼ばれる塗り材で、
暑さ1.0mm程度の薄塗りで強固な塗膜を作り出し
防水性・耐久性のある無機質な床を創り出しています。
https://www.fukko-japan.com/products/morart.html


小上がりの下地は加工したJパネルの端材を
加工材と共に発送に加えて、活用しています。
ここには、座カウンターを設けて
小上がりに座って油谷湾を眺めながら日本酒がいただけます。


反対側の壁と天井は山口県の土の塗り壁と
杉ルーバーの構成としています。
壁のルーバーの間には、ディスプレイ棚として
アクリル板加工の展示ボックスが8個挿入されて
様々な角度から内部の展示品を鑑賞することができます。


オープン1ヶ月半は、期間限定として
萩市の岡崎酒造さん秘蔵の日本酒の製作過程を表現した
萩焼の貴重な置物が飾られています。
https://www.chomonkyo.com


元々カラオケルームだった部屋のパテーションを撤去して、
旧茶房ラウンジと一体化させましたが、
撤去できない既存柱の廻りには
Jパネルスリット加工品で4面を構成し、
同じくJパネルによる円形カウターを設けて、
ここでも、油谷湾を眺めながら立ち飲みができるようになっています。


その奥にある日本酒バーとディスプレイ収納。
ここもモラート塗りのカウンターとディスプレイ収納があり
ここで、日本酒ソムリエからアドバイスを受けながら、
利き酒を3種試すことができます。
1000円でコインを購入して、横にある日本酒サーバーから
12種類の山口県下酒蔵の日本酒が選べますが、
26蔵元の日本酒も用意されています。

また、これらの日本酒に合うアテとしてのサカツマ。
これは盃でいただくおつまみのことですが、
フードコーディネーターの指導の下、
今回に合わせて開発されたアテで、
以下の七種類から三種類が選べます。

1.    蛍烏賊の山椒煮
2.    長州黒かしわと黒ニンニクの東洋美人酒粕漬け
3.    莫久来(ホヤとこのわたの塩辛)
4.    芽キャベツの鮑肝味噌田楽
5.    春野菜・ブルーチーズと西京味噌のドレッシング
6.    黒豆の湯葉とじゃがいもの明太子サワークリーム
7.    自然薯阿部川


そして建築と共に今回の二本柱となる日本酒メディアルーム。
山口県下26酒蔵を代表する日本酒と
その地域環境から酒造りを紹介する美しい映像が
大型モニターに映し出されて観ることができます。


入口脇の左官の壁に設置されたモニター、
その反対側には強化ガラス越しに内部が見える山口県の地図が
左官塗りで表現されています。
これも、左官職人・福田靖氏の力作です。


そして、その内部で展開されるのは、
業界でも有名なメディアチーム・COSMICLABさんと
地元のディスプレイ専門会社のフォルトさんとのコラボ作品。


棚田を表現した段々状のステージの上には
山口県下26酒蔵の日本酒がならび、
コンピュータ制御されたLEDと音響により
浮かび上がりますが、ほのかにお酒の香りまで。。。


床は左官による三和土土間床、
台座には、山口県の土を幾層にも分けて突き固めて
創り上げたうねる版築の腰壁と
いな穂を埋め込んだ塗り壁で囲まれております。

その幻想的な空間と映像をお楽しみください。

https://youtu.be/U9irRhsXS5w

ちなみこれは、昼バージョンでして、
夜バージョンはさらに特徴的ですが、これはまた追々に。


今回は、その日本酒BARから風除室を経て
油谷湾側に左官土間の通路と海と月デッキが作られました。
風除室の中央にある庭石は
私が是非残してくださいとお願いして、埋め込んでおりますが、
この庭石をなでると、しあわせがやって来ます。。。


そして、見晴らし抜群のデッキスペースで、
油谷湾の風に当たりながら日本酒を飲むのも一興ですが、
いずれ、ここを利用した海鮮BBQなど
新たなイベントも計画されているようで、今後が楽しみです。


こうして無事リノベーションを完成させることができましたのも、
楊貴館の岡藤社長、岡藤取締役、そして従業員の皆さんのご協力と
優秀な地元建築家や施工者、左官屋さんと
メディアチームのお陰です。
ここに、改めまして御礼申し上げます。

5月には、長門市長をはじめとして、
長門市経済観後部他の関係各所、
長門市観光コンベンション協会などの公的関係者の方々
さらに、山口県酒造組合や各酒蔵さんへのお披露目として
グランドオープンセレモニーがおこなわれる予定です。
その時には、地元メディアでも発信され、
長門市の地域活性の様々な連携が明かされると思います。

今回の油谷湾温泉ホテル楊貴館・リノベーションは
これだけに留まらず、
さらに、様々なアイディアが加わっていき、
厚みのある地域発信がおこなわれる予定ですので、
これもまた楽しみです。

皆さん、大変お世話になりありがとうございました。

〇ホテルリノベーション設計監理・施工チーム
・IRA建築設計事務所主宰 今村剛浩氏
:山口県下関市長府黒門東町8-11
https://iradesign.link
・古田工務店代表 古田勉氏
:山口県長門市仙崎72-5
http://www.k-furuta.jp
・福田左官店の福田靖氏
:山口県長門市三隅下1333-3

〇日本酒バーメディアルーム設計施工チーム
・IRA建築設計事務所
https://iradesign.link
・古田工務店
http://www.k-furuta.jp
・福田左官店の福田靖氏
・COSMICLAB・・・メディアルームデザイン映像製作
:大阪府大阪市中央区千日前2-3-9 味園ユニバースビル2F
https://cosmiclab.jp
・フォルト・・・メディアルーム棚田・照明製作
:山口県下関市椋野町3-5-16
http://www.fort-net.com

〇メディア関連
山口県長門市・楊貴館旅館甲子園グランプリ受賞報告
https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/wadairoot/wadai/20210311youkikanguranpurihoukoku.html
やまぐち未来人・ホテル楊貴館「若旦那」こと岡藤明史さん
https://www.yab.co.jp/jc_broadcast/83520

〇山口県酒造組合/酒造協同組合・蔵元紹介
http://y-shuzo.com/member/index.html

そして最後に、今回の油谷湾温泉ホテル楊貴館リノベーションに
参加する機会を与えてくださった
岡藤社長、岡藤取締役に改めまして御礼申し上げます。

http://blog.with2.net/link.php?460485
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  ・・・どうも、ありがとうございました。

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