今回の改修の肝となっているのは、
構造補強と共に外壁の漆喰壁の改修です。

漆喰壁の改修は非常に難しい面があります。
まず表面の漆喰を補修する前に、
その下地となっている土壁が脆くなっているので、
そのまま表面だけを補修しても、
台風などで剥離する場合があります。

この蔵も三年前の台風が静岡を直撃した折に、
一部の漆喰が剥離落下して、部分補修をおこなった経緯がありますが、
その時に下地の土壁を補強しているので、
その補修方法で、今回の漆喰壁の改修をおこないました。

漆喰壁の下地が脆くなっている場合、
これを剥がして改修すると大変なコストと時間が掛かりますので、
表面の漆喰のみを剥がして、
下地に特殊な浸透性接着剤を等間隔で注入して固結強化して、
その上に、下地のモルタルを
下塗り、中塗り、上塗りと塗り重ねていきます。

そして、最後にフッ素樹脂塗装で白く塗っています。
漆喰壁の再生ではなく、塗装による再生で
コストダウンを図っています。
といっても、この下地の接着剤強化でも、結構コストが掛かります。

さらに、今回は外壁に金属板で覆われた部分がありました。
恐らく、簡易補修をしたあと、漆喰壁としないで、
金属板で覆っているという想像でしたが、
この部分の補修にも、工夫が必要でした。

土壁の下地は、通常竹小舞という割竹が使われていますが、
ここでは、竹がそのまま編んでありました。
柱下と土台の腐食部の取り替え部は、
モルタルで埋めて、杉板で塞いでいます。

漆喰上の下地の胴縁が浮き上がっている部分があり
非常に不安定な下地状況でしたので、
新たに長ビスを追加して躯体の柱に
直接胴縁を緊結する補強を施しています。

その上で、剥離や割れのある部分を剥がして
同じく接着剤注入補強をして、透湿防水シートで覆い、
さらに、新たな胴縁で押さえてから
ガルバリウム鋼鈑を施工して改修しています。

こうして、塗装部分とガルバリウム鋼鈑部分と
二種類の外壁改修をおこなっています。

昨年は、夏に長雨が続き左官業者さんも
あちこちの工事が滞ってしまい、
ここでも、業者さんを入れ替えて何とか完成にこぎ着けましたが、
それでも、予定より3ヶ月遅れてしまいました。
こればかりは、仕方ないことですね。

色々な経緯がありましたが、
築200年の蔵の外壁が、次の200年へと受け渡す
基本的な改修ができたと思います。

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