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様々な見所がある小澤ホールですが、
ちょっと、そのバックヤードを覗いてみましょう。

このホールに接続されているオーケストラの控え棟。
コートハウスのように、中庭と外廊下の廻りに
各控え室や練習室、会議室、水回り
などが設けられています。

つまり、各部屋への行き来は
外部の廊下を通って移動することになります。
ここがボストン交響楽団の夏の家を呼ばれるように、
主に利用される時期の気候を考慮して、
その自然の中に身を置こうとする考えから
採用されている配置のような気がします。

この建物は、米国の在来工法である
枠組み壁工法、いわゆる2×4工法で創られています。
そして中庭には、米杉板が敷き詰められたデッキ。
えっ、って思ってしまうほどにシンプルで素朴。

うがった言い方をすれば、
ちょっと安普請過ぎません?
横の繋がっているホールから、
直接、ここへ来られるわけですから・・・・。

しかし、この控え棟。
実際に体感してみると、
その違和感を感じることがありません。
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おそらく、ホール外側を取り巻く
ヘビーティンバーの外部廊下からの
延長上に位置しているためだと思われます。

外部廊下の天井に目をやると、
露出されたタル木と野地板、
そして、載せられただけの桁梁と柱。
この潔いまでのディテールが、
かえって、シンプルな清廉さを醸し出しています。

外壁に目をやるとそこには、
杉板の押し縁による竪格子を思わせるパターンと
日本の伝統色を思わせるえび茶系の扉で構成され、
全体としてデザインされたペンキ塗の壁。
ペンキは、外部用によく利用される塗膜性の厚いもの。

こうした、肩肘を張らないで、
それでいて、デザインされたプロポーションの良さ。
日本建築の精神的な部分に共通する心が
私の琴線に触れた印象的な建物でした。
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