2014年 6月の記事一覧

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14年06月13日 18時18分00秒
Posted by: draft2

地面表層の地耐力が基礎の単位面積荷重より小さい場合

絶えられる層(支持層)まで杭を打ち基礎を支えるのが支持杭

支持層が深く届かない場合は土と杭との摩擦で支える摩擦杭

上記がいわゆる杭基礎で既製品を打込む杭から現場打ち(製作)まで



一方、地盤改良と呼ばれる工法は支持層が比較的浅く

杭を打つほどでもないが基礎届かないという時に

基礎の下に無筋のコンクリートを流すラップルコンクリートや

表層の地耐力がもうちょっとなんだけど...じゃぁ~固化材を混ぜて土質を改良など



古来は地面に刺しても腐りにくい松の木を打ち込んで締め固める松杭

丸の内の再開発ビルのCMでも紹介されてましたね、観ました?

表層を改良する地盤改良ですね

昔は軟弱地盤に建てる時はみんなコレでした



皆さん住宅を建設するときにどんな工法を使ったらいいのか?

ココを見ている人はきっとそんな悩みでたどり着いたのでしょうか

基礎形状や杭種・地盤改良の工法にはそれぞれ長所・短所がありますし

何が一番というのはありませんその土地によってベストは違います



筆者が自邸で使おうと思った工法を一つ紹介します

ハイスピード1
ハイスピード2

自邸をボーリング調査した結果、表層の地耐力はまぁまぁでした

近所の住宅はもちろん既存住宅も何もしないで建てています


しかしガレージハウスをS造で建てようという計画でしたので

木造のように荷重を柱の数で分散できません

柱は6本の計画ですから前荷重をその6箇所の基礎で負担します




ボーリングデータによると支持層は3m下にありました

基礎下端からだと2mほど下ですね

杭を打つほどではないのでラップルコンクリートを打つのが一般的でしょう




ここで普段からきれいごとを言っている手前安易にラップルで済ませたくない

というのも杭や地盤改良には少なからず環境負荷があります

固化材を混ぜる土質改良などはイメージしやすいでしょうが有害物質の流出も懸念されます




そんな懸念を払拭するのがハイスピードでした

結局、建物荷重が重くて使えませんでしたが木造住宅ならお勧めします

別に宣伝してもいくらも貰える訳ではないのですがねw




結局、自邸の基礎はどうしたか気になる人に

団信が通らず計画は変更し軽量な平屋のガレージのみとなりベタ基礎です

健康って大事ですねぇ~



 

14年06月10日 18時18分00秒
Posted by: draft2

既存施設の点検でよくあるのが厨房等(火器使用室)の吸気口を塞いでいる問題

建築基準法では火器使用室には換気扇と共に吸気口が義務付けられています

その位置も天井高さの半分以下の位置となっています



火力の大きい厨房等は吸気口も大きくなりますが埃が入り込むので

保健所が塞ぐよう指示を出し調理人は保健所には逆らえませんから塞ぎます

すると負圧で窓が開かなくなったり隙間風がビュービュー鳴ります

もちろん建築基準法違反です



新規の厨房の打合せで保健所に行ったので常々感じていた上記の問題をぶつけてみたところ

保健所の皆さんは当然ながら建築基準法は知りませんので苦笑い

さらに「
もっと高い位置につきませんか...」天井高さの半分以下ですw



埃が入らない必要充分な換気口...フィルター付けるしかない?



というか今までダレも吸気口の件を保健所で言わなかったのか?

定期点検自体が行われていないのでしょうね

県でもまだ始まって6年程度ですから民間は...



住宅でもキッチンがガスの場合は吸気口があるはずです(古い家は無いかな?)

食器棚などで塞いじゃってませんか?

それ以前に寒いからと閉めちゃう方もいらっしゃるようです




火器使用室の吸気口はもちろん安全の為、24時間換気も健康の為です

24時間換気の吸気口にはフィルターがついてますよね

定期的にメンテナンスしましょう!


 

24時間換気は機密性の上がった現代の家の寿命を伸ばす上でも有効です




 

14年06月09日 18時36分42秒
Posted by: draft2
タイトルの支持地盤...政治の話ではありませんw



最近ちょっと話題になっていますマンションの施工ミスによる建物の傾き

建物は当たり前ですが地盤の上に基礎を作りその上に柱を立てて...

地盤にも軟弱地盤から岩盤までイロイロです



建物を建てる場合は地盤調査を行います、行ってますよね?

近隣データが使えればそれを参考にすることも認められています

出来れば実際に建てるところで調査が望まれます



地盤調査にもイロイロありまして木造住宅などの軽い建物の場合は

スウェーデン式サウンディング試験という簡易試験で済ませることが多いです

これは棒を差し込んでその刺さり具合で推測する調査です

実際の地層を採取するのがボーリング調査で正確性としては上です



軽い木造住宅の場合は表層の地耐力がある程度あればそのまま作る直接基礎

土の上に浮いている船のようなイメージのベタ基礎がコレにあたります

もちろん浮いているので地震で揺すられた時に沈むのは容易に想像できます

直接基礎で地震時に沈まないのはよほどいい土質といえます!



そんな理想的な土地は少ないですから何かしら講じる対策の一つが杭ですね

基礎の下に柱を埋め込み地中の支持層で建物の荷重を受ける

もちろんその深さは地盤調査により探るわけですが敷地内が均一とは限りません



上のほうで隣接データでもいいと書きましたが地域によって割りと平坦な場所であればいいですが

変化にとんだ地域ではやはり建てる位置での調査は必要でしょう

さらに大きな建物であれば建物の中心だけでなく四隅くらいはやるべきですね

工場を建てる時は敷地内でも支持層の深さが違うなんてことは良くあることです



構造計算をする建物の場合ボーリングデータを元に支持層を推定し杭の長さを決め

上モノの重量によって杭の太さや本数が決まります



実際の工事現場では設計した長さの杭を打ち込みますが何本もある杭の一部は

試験杭を兼ねており、打ち込んでいって想定の位置で止まるかを確認します

杭はちょっと長めに用意し支持層が設計より浅ければ余分な杭頭をカットします



打ち込んでいった杭が止まらないと継ぎ足さなければなりません

そうなると現場監督としては予算が増えるのと追加発注で工期が延びる...

ボーリング調査の箇所数を割愛したツケが廻って来たわけです



それでもそのままでは荷重を支えられないのでやらなければならない

でも工期が...予算が...でそのまま基礎を作っちゃった?



杭には2種類ありまして上記で説明したような支持杭と

支持層が深すぎて届かないので杭と地盤との間の摩擦力による

摩擦杭というモノがありますが混ぜて使うことは禁じられています



ということで今般のマンションの不具合は支持杭による施工ミス

と思われます



このブログを見る方は一般の木造住宅を建てようという方が多いでしょうか?

それともマンションを購入しようという方でしょうか?

いずれにせよ経費をケチるとろくなことがありません



安全と安心はタダじゃ無い世の中です


もちろん杭以外にも地盤改良という方法もありその土地によってベストは違います


 
14年06月04日 10時46分39秒
Posted by: draft2
前回のブログ記事が2009年11月27日!

現在2014年6月放置期間約4年半ですか...


放置していた理由は単純に忙しかったから

震災の前から県内の学校施設の耐震化が始まりました

耐震診断は構造設計者にとって専門分野ですから大変です


特に震災以後は各自治体とも前倒しで耐震化を進めてきましたので

シーズン中は掛け持ちで休む暇も無いほど多忙な日々でした

今後は学校施設以外の建物や民間の建物の診断・補強がぼちぼち


さて耐震診断とは地震が起こった時に建物が耐えられるか?

耐えられない場合の不足の程度はどれくらいか?

構造力学的に検証し数値化するものです


木造の場合は壁の中身とその量によって耐力が算定され

耐力壁の配置状況(バランス)や劣化度合いにより低減を受けます

その結果は倒壊の恐れが無い場合を1.0として評価されます


国は一般家屋の耐震化率を上げようと診断業務・補強に対して補助金を出しています

条件に当てはまる建物は診断をお勧めしますが該当する古い建物は

当然ですが結果はアウトです!


現行基準が厳しくなっているのですからそうなるはずです


耐震性を上げるにはどうするか?簡単なのは建物を軽くすること!

屋根が瓦葺きであれば軽い鋼板葺きにするだけで耐震性は向上します

マニュアルに従えばあとは耐力壁を増やすしかない


しかし、硬い家が地震で壊れないかというと一概には言えません

硬くすると地震に耐えますが衝撃を吸収しますから壊れます

地震の時、壁にひびが入ったのは壁材がエネルギーを吸収しきった証拠です


木造の在来工法の場合は地震のたびに木組みが緩くなります

震災後にクルマが通るだけで揺れやすくなったとは良く聞きます


壁式工法の場合はがっちり釘で打ち付けてありますが

その釘の施工状況により壁パネルが外れた事例もあります


震災直後に被災地へ応急危険度判定に行きましたが

新しくても壊れた建物もあれば古くても見た目はなんとも無い建物もありました

これはバランスが大きく影響していると考えられます


構造設計をする時はバランス(偏心=重心と剛心のズレ)を考慮します

現在は木造住宅でもバランスは考慮することになっています

もっとも壁量計算も出来ない建築士が結構居るようですが...


日本の住宅は南面に窓が多く北面には窓が少ない

とうぜん剛心は北に寄りますから偏心が大きくなりがちです

とても古い建物は北側の壁も強くないので偏心も控えめといえます


偏心が大きいと思われた建物でも地震の波が来る方向に左右されました

剛芯が北に寄っていても東西のバランスが良ければ南北方向の揺れにはネジレは生じません

しかし東西の揺れでは建物がネジレて倒壊してしまいます

崩れた石塀と崩れなかった石塀があったのはその向きによるものでしょう


この辺りの地域だと先の震災は北北西からの揺れでしたが

次の大地震は南から西のほうから揺すられるのでしょうか?東南海?

それとも南東方向から揺すられるのでしょうか?東京直下?


先の震災で大丈夫だったからと安心は出来ません

しかもエネルギーを吸収し耐震性は劣化しているはずです


いんちきな補強金物を売り込む訪問販売の現場も見ました

ちゃんと付ければそれなりの効果が発揮されるかもしれないゴツイ金物も

無意味にたくさん付けられた住宅は...あるいみ被害者ですね


怪しい業者の口車に乗る前に自治体から補助金を貰って

専門の建築士に耐震診断と補強提案をしてもらって

補助金を貰って補強工事をすることをお勧めします


もちろん市内にお住まいであれば市役所の窓口にて弊社をご指名いただけると幸いです


国の耐震対策緊急促進事業HP
http://www.taishin-shien.jp/index.html#3

 
日本建築防災協会HP
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/seismic/kodate/wooden.html

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