伝統工法」は地震にも強い!!ということを今まであまり考えたことはありませんでした。

ある記事を読んで本当にそうだ、と納得したのですが、現在の工法は多岐にわたってはいても、いわゆる「在来軸組工法」と呼ばれる工法が一般的です。つまり土台と柱と梁と筋違と火打ち材で構成される建物です。
私の年代ではこの工法による設計が一般的ですが、地震に対する強さは筋違に多くを頼っています。加えてたくさんの金物で固定しています。

戦後の住宅難を早急に解決すべく「住宅金融公庫」を創設して庶民が安い金利で建設資金を借りられるようにしたところまでは良いのですが、実はその時に、建築施工(設計)基準を定めてしまいました。それが現在の「在来軸組み工法」というわけです。

お金を借りるためにはこの「施工(設計)基準」を守らなければなりませんから当然「伝統工法」は廃れて「軸組み工法」が取って代わってしまいました。

この工法はそれまでの「伝統工法」という棟梁が長年培ってきたすばらしい仕事とは全くといってよいほど関係のない工法だったようです。

つまり、金物よりも複雑な木組みによって地震時の変形に柔軟に耐える、ホゾのめり込み等で加わる力が吸収されるということです。
筋違ではなくて、例えば貫であったり、太い柱であったりするわけです。

公庫の施工(設計)基準はこうした「伝統工法」を土台に進歩させた施工(設計)基準を作るべきだったのです。

現在の耐震補強は金物を使う、筋違あるいは構造用合板の耐力壁を新たに設置する、などですが、果たしてどうなのだろう?と考えてしまいます。