豊かな自然のなかに建築をつくるとき

南や東、西でなく北方向にどうしても

室内空間に取り込みたい風景、

それも大々的にそうしたい景色があることが

度々あります。

寒冷地であればヒートロスを考えると、

季節風の吹きつける北面の開口部は

極力小さくするのがセオリーです。


室内から見て北側の景観は、

よほど遠景でない限り、太陽に照らされて

とても美しく見えます。逆に南窓からのそれは

逆光なわけですから眩しい上に、色は少なく見えます。


写真の家の場合、南陽に照らされた丸みを帯びて

美しい熊笹の斜面。そしてその下を岩魚の棲む

渓流があります。そのすべてを取り込むため、

妻壁の全てをガラスにしています。


ガラスの性能は日本でも近年著しく向上しました。

アルゴンガスが封入されて、金属樹脂が

内部コーティングされたROW-Eガラス。

予算さえやりくりが付けば、

こうしたガラスを用いて一般にはタブーな

北面のピクチャーウインドーも楽しめるのです。