某住宅のエクステリアの計画中。
住宅の境界エリアに関して、閉じるべきか開くべきかと言う私の考え方は置いといて、門扉やカーポートを設置したいと考えるクライアントに対して、「絶対に止めましょう!」とは言わない。様々な考え方や事例を紹介しながら、「土地を閉じる目的」や「意味や意義」を話し合う事はするが、それでも、住み手の欲する安心感や満足感、その他諸々の考え方を180度ひっくり返してやろうとは思わない。
建物が建つ地域の特性だってあるし、周囲との調和と言う問題だってあるからだ。

それにもし私がやらなくても、他の誰かがその計画をするのだとしたら、自分がやる事が一番望ましいとも思う。ところが、たまに閉じるエクステリアを考えると、これはこれで難しい。理由は簡単。閉じるエクステリアを考える時、既製品を使うのが最も価格を低く押さえる事が出来そうだからだ。つまりカタログを眺める作業が中心なのだ。これはこれで、結構大変なのです。

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(上の写真は神奈川県小田原市の家/参考写真でこの話とは関係有りません)

昔はクライアントの意見が私と違う時には、相手の意見をひっくり返してやろう、こちらの説が正しいと認めさせてやろうと躍起になった時もあったが、直ぐにそれは間違っていると気付いた。人の意見なんて直ぐに変るものでもないし、無理やり曲げさせた考え方は、一度事が起こると直ぐに元に戻ってしまうものだ。そんな時に相手の心に残るものが、後悔だけだとしたら、それは悲しいからね。

納得できるか出来ないか。
安心できるか出来ないか。
信じられるかられないか。

意外と家を造る時の気持ちと言うのは、そんな単純なことが大切な気がする。
いや、単純だからこそ大切なのかもしれませんね。


天工舎一級建築士事務所