同じ屋根の下、1階に親夫婦、2階に息子夫婦が生活する二世帯住宅地と
背中合わせの別敷地に若夫婦が住まう店舗付併用住宅の計画依頼を受け
て打ち合わせを重ねる中で、階上で歩く若嫁の活発な足音が原因で、階下
で寝床に就いている義母にとって熟睡できず、いろいろ気苦労があったと
聞き、以外と年寄りは加齢による聴力の衰えと反比例して、感性は敏感に
なるんだとの体験でした。この機は、小生にとって「音と建物」は、技術
論と精神論の両面について学ぶ課題を得ることになったような気がします。

何度も繰り返し転勤地を変えられた、集合住宅の生活に長けた知人によ
りますと、賃貸住宅と分譲住宅との違いは「四囲の住戸から聞こえる音
にある」と的確に云われ、確かに賃貸マンションの経験からして、法的、
技術的に界壁などの遮音は考慮しても、入居者の受容限度までさかのぼ
ることは無視し済ませていました。
分譲マンションの経験はありませんが、入居者の意識の違いにより生ず
る建築関係者の計り知れない、御苦労度は想像できます。

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