小田原市に近い山北町の立川村小高松分校が、廃校されると言うニュースを読んだ。
地図で見ると、なるほど山の上で不便な場所のように見える。

山北町立川村小高松分校:半世紀の歴史に幕、廃校へ 最後2児童さよなら会 /神奈川

そういえば小田原市内の早川にある、片浦小学校も今年度限りで廃校されると聞いた。
少子化のツケと言えばツケなのだが、本質はそこではなく、地方都市における人口の減少ではないかと思う。

地方に住む親にしてみれば、そこに住みながら生活していける基盤が無くなる事や、子供だけには、せめて教育をと願う親心が、子供の進学の時期をきっかけとして、都市部へ引っ越していくことが、こう言う事態に象徴されているのだと思う。

小田原市がいくら城下町で、歴史と伝統がなどと言っても、所詮は人口20万足らずの地方都市に過ぎず、山北町においては人口13000人にも満たない。そして人口の流出に歯止めを掛けることが出来ずに、右往左往しているのが現状だ。

建通新聞と言う建築業界の情報誌に拠れば、今年1月の小田原市内における新築住宅の着工件数は、30軒にも満たないとか書かれていたそうな。それは景気の低迷だけが理由ではなく、ひょっとすると仕事や進学先を求めての、人口の流出も関係しているのかもしれない。そう考えると、地方都市における人口流出に歯止めを掛けることと、同時に転入者を募るということが、これからの地方都市においては死活問題に直結することになる。

「今さら何を」と言われそうな気もするが、この問題に関して、誰かがその対策をキチンと企画立案し、実行したという話を聞いたことはない。行政も、もはや他人事ではないと言うことを感じられるデリケートな感覚を持たないと、明日は街が破綻するかもしれません。真面目に考えたいと思います。


天工舎一級建築事務所