庇と一言で言っても、このデザイン要素には
重要な機能がいくつもあります。この庇を
意識的に消滅させる手法も多く見受けられますが、
見た目の格好良さだけ考えていると、自然から
手痛いしっぺ返しを受けます。
多雨で日照率も高い日本の気候風土に庇は
欠かせません。このテーマを3回に分けて述べます。
今日は、その1-日照調整、防雨。

庇のことを説明するとき、私はいつも野球帽を引き合いに出します。この帽子は実に機能的に出来ています。
まず、強い日差しは目をくらませてしまいますから
前に突き出た長いつばは、直射光を和らげ
安定した視力を保つのに有効です。
また、余程の横殴りの雨でない限り、目に入らずに
済みます。人は顔が濡れるのを嫌がりますし。

下の断面図で今回のテーマに絞って言えば、
ここでの庇は、夏の太陽高度では直射光が
屋内に射さず、冬では屋内の奥まで射すよう
庇の形状、出が緻密に検討されています。
こうしたことが建築の設計では重要なことと考えています。