1995年1月17日午前5時46分ごろ発生した阪神淡路大震災は、わが国初の実地検分により最大震度7と認定された、都市の直下で起こった激甚災害である。
その被災地の跡に建つ、軽い屋根を載せたS造地上3階建、2LDKタイプの賃貸集合住宅である。
大阪市と隣接する兵庫県尼崎市は、沿岸部から始まる山間部のない平坦な土地柄で、江戸時代の劇作家、近松門左衛門を生み、近年は工業都市として発展してきた人口47余を抱える歴史ある町で、阪急電鉄神戸線の武庫之荘駅で下車、徒歩5分圏内の二方道路に接するL字形敷地で、瓦礫の中から2年弱経過して生まれた復興住宅である。

特に太古の時代、地球規模の地殻変動により大陸から離れて孤立した日本列島は、地震多発の宿命を背負った国であるが故、神経過敏で静なる性格を強くもつ特異な民族が育まれ「他人事でない」と云う温かい精神に培われてきた国民性は、国際的な学説として文明を生んだ一つの素地であるとも云われている。
将来も繰り返し起こるだろう困難極まる出来事に、進化で冷静に堪えてきた民族のプライドは、永久に生き告がれていくと信じて已みません。
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