ある実業家の自邸に始まり、二番目の店舗も市街地
に建つ2階建ての商業施設で、前回と異なる点は将
来3~7階部分を集合住宅として利用可能な増築予定
を含んだ、新耐震規準に基ずく建物でした。工事は順
調に進み、行政当局の検査済証の交付も受け、無事
開店に辿り着きました。
ところが間も無くしてクライアントから、増築予定部の
建築確認申請の手続き要請を受け、急遽分厚い増築
申請書を作成した時点で、何故か作業中断の指示が
ありました。不審に思い原因究明の調査をした結果、
基礎工事の段階で現場に居合わせたオーナーにゼネ
コンの設計社員が発した「増築予定の建物にしては
基礎が小さい」との一言で不信感を抱かれ、証拠確認
を行う為の言動であったと判り、不可解さは一応解消
しました。
その後、利害を共有した付き合いで七作品まで進み、
次の仕事は、娘さん夫妻の住宅計画でした。オーナー
と打ち合わせを重ねている途中で、突然「別離」の決意
を告げた発端の一つは、この出来事が小生の脳裏に隠れていたのかも知れません。
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