2022年 3月の記事一覧

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22年03月30日 13時27分55秒
Posted by: macchan

旧宅の玄関前を見守っていた棟門が
三年ぶりに新しいデザインの中に蘇り帰ってきました。

このお住まいを訪れるたびに、竪格子の引き違い戸を開けて
水を打った飛び石を踏んで玄関へ。
そんな豊かな佇まいのアプローチを
新しい住まいでも継承したいと思い、
温故知新のデザインを考えました。

木造の掻き落としの壁は、
鉄筋コンクリート造の塗り壁へ、
木造架構が現しの銅板屋根は、
躯体はできるだけ軽く薄く見せるために
躯体の中に打ち込んだスチール角パイプと
それに溶接したリブ付きプレートで屋根の躯体を形成。

構造事務所に構造チェックをお願いして、
1800L×3200Lの屋根の風圧を考えて、
D13ダブル@100の配筋と重量級で、
屋根の大きさで厚300mmの耐圧盤と
厚300mm袖壁が、この躯体を支えていますが、
その全体はほぼ隠れているので、見た目は軽快。

そこに上下から静岡県産杉材Jパネルを挟み込んで
木造下地を作り、下端には、旧棟門の架構材である
桧の桁・平板・化粧垂木・木小舞を一旦解体して、
洗いと削り直して今度は水平に組み合わせ、
屋根は木造下地を作り、緑青銅板を再生して葺き直す。

二年前の解体工事で屋根毎保管してもらいましたが、
保管場所も二度移動しており、
相当に重いものですので、皆さんにご苦労をお掛けしました。

緑青銅板を一つ一つ番付をしてから外していきましたが、
元屋根が変形の寄棟でしたし、
新しい棟門の屋根は一回り大きいため、
打ち合わせの結果、寄棟の奥行き部分と軒先には、
真新しい銅板を追加して葺き上げましたが、
新旧の銅板の組み合わせが面白い表情を出しています。

樋は、タニタハウジングウェアさんの
スタンダード半丸の銅製を内吊りで、
そして趣のあるくさり樋を採用しました。

途中で外受けの樋金具が付いていたので、
工事をストップして、内吊りを取り直してもらいましたが、
打ち合わせしておりましたが、
もう頭が外受けでの刷り込み。
いや内吊りは無いでしょう・・・から、
すみません、ありました。。。という展開でした。

私は内吊りしか使用しませんが、
外受け金具の枠が出ないと、本当に樋は綺麗に見えます。

こうして、解体撤去から2年振りに
棟門が新しい住まいに再生されました。

棟門屋根、ガレージ屋根、母屋屋根が交差する部分は、
調整に苦労しただけあって、複雑な表情ながら、
それぞれの屋根が重なり合って、
その間に顔を出すアオダモ株立ちと
手前のヤマモミジ株立ちの緑が
玄関ポーチを覆いながら、
さらに良い雰囲気を創り出してくれるはずです。

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22年03月11日 11時44分40秒
Posted by: macchan

長い設計期間を経て現場に入った時に、
まず現場に伝えなければならないのは、
住まい手と共に積み上げてきた設計の想い。
それは図面に託すことになりますが、
契約図面としての実施設計だけでは
その積み重ねた情報を伝えることはできるはずもなく
現場監理に入ってからの詳細図や
基本設計時の図面を加えたりして、
役割と設計意図、その納まりを現場監督経由で棟梁に伝えます。

今回は、設計期間として二年半、
施工期間として一年超えの仕事ですので、
膨大な数の図面と議事録があります。
そんな日々の現場監理を通していると、
設計の想いが監督と棟梁と共有できるようになります。
週一回の現場定例ですが、
残りの5日間は、現場に託すことになります。
現在では、現場LINEでその場で起こったことへの
対処や指示を簡単におこなうことはできますが、
やはり、現場監督と棟梁の連携に負うところが多くなります。

これは中庭にあるデッキと階段ですが、
ご覧のようにビスが1本も見えない施工。
さすがに、ここまでの指示はしておりませんが、
想いが伝わるということは、こういうことだと思います。
私の住まいでも、通常はデッキビスを使用して留めますので、
この見せない施工は、よほどでないと指示はしません。

また、ビスを表に出さない施工方法は分かっていますが、
最後のデッキのみビスが出るという仕様です。
しかし、ここのデッキと階段は、
その最後に施工したであろう箇所にもビスが1本も出ていません。

さすがに、その種明かしを聞きましたが、
そ、そこまでやりますかという内容でした。
監督も、もう二度とやりません・・・と・苦笑。

私の設計の図面量では、どこの現場でも驚かれますが、
その想いが伝わるというとは、こういうことなんだなぁ・・・
とあらためて感じる共に、監督と棟梁に感謝です!!

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22年03月04日 17時04分52秒
Posted by: macchan


カメラドアホン親機、電気錠操作盤、湿度調整器、
セントラル冷暖房システム空調リモコン×2、
そして各照明スイッチが、操作のし易い高さと位置に
綺麗にレイアウトされてできあがりました。


特に設備が集中する住まいのコントロールセンターのレイアウトは
躯体内のボックス位置と本体の設置位置のズレがあり、
各々の大きさがまちまちですので、
どこを合わせて、どれだけ離すかは非常に微妙。


躯体から、合板やら端材やらを挟んで、
計算通りの寸法位置にボックスが配置されます。
これが一見バラバラのような位置になりますが、
すべて製品が取り付けられると計算通り。


躯体工事が終わって、上棟式がおこなわれた昨年の5月。
もう9ヶ月前になります。
パネル化による躯体の建て方工事が終わってから、
本体の大工さんが外部廻りの破風、軒裏、通気胴縁など
外周部工の事に入った頃に、私はひとり現場で、
臨時アトリエを開設して、パソコンの図面と
現地の躯体を見比べながら、
住まい全体の電気設備や給排水衛生設備、
防犯設備などのすべてのボックス取付位置を
実際の躯体の中に一つ一つ描き込んでいきます。


この住まいでのスイッチ・コンセント他の
総数は約100箇所。
さらに照明器具が内外合あせて約160箇所。
さすがに今回のお住まいは大型のため、
通常の住まい3件分ほどの量となりますので、
すべての位置出しを済ませるのに4日間かかりました。


この作業は、電気屋さんも設備屋さんも入らない、
現場監督にも、私には構わないでくださいと言って、
ひたすらひとりでブツブツ言いながら、
パソコンからお気に入りの曲を流しながら。。。


こうした作業を最初におこなっておくと、
こちらも出戻りも少なくて良いですし、
電気屋さんも設備屋さんも楽に作業できて大助かり。

それだけに、私の指示通りとなりますので、
その責任は、すべて私にあることになりますが、
これだけの数となると、どうしても
図面からの漏れだったり、一部移動だったり、
その後の現場進捗状況の中で、必ず出てきます。

ただ、こうした作業を私が先行しておこなっていれば、
多少の手直しは、設備担当者も
快く?変更を引き受けてくれますので、
そこは、労力のかけがいがあります。

また板張の壁では、板割付の目地の位置との
調整など、位置が決めるには素材も関係してきます。


揃っていて当たり前、揃っていないと気持ちが悪い、
観る人が観れば分かりますが、
やはり、壁の中に整然とレイアウトされていると
住まい手にとっても使い勝手が良くなります。

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