タイムス住宅新聞1350号の「建築家と探す地域の魅力」に執筆記事が掲載されました。
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      21連ア-チ橋と花・水・緑の大回廊公園  ~南風原町~

 ユ-ミンこと松任谷由実の曲には多くの名曲がある。「守ってあげたい」、「卒業写真」、「やさしさに包まれたなら」等など数を上げればきりがない。そんな中でも私の好きな曲に「中央フリ-ウエイ」がある。高速道路から眺める街並みの移り変わりや、風をきって車を走らせる心地よさが感じられる一曲である。沖縄自動車道と那覇空港を結ぶ南風原高架橋の21連橋に差しかかると必ずこの曲が私の頭の中を駆け巡る。高速を駆け抜ける風の心地よさをはじめ、右手にはJASCOやサザンプレックス,左手には宮城公園やのどかな田園風景が広がり、南風原町の街並みの映りゆく変化を楽しませてくれるからだと思う。もともと南風原町出身の私にとって幼少期から南風原の街並みの変化を見てきた。この21連橋も実は単なる巨大な高速道路ではない。実は世界一のアーチ橋なのだ。何が世界一かと言うとア-チの数(21連)が世界一だそうだ。そのアーチ数の世界一が魅力かというただそれだけではない。高架橋したから眺めると実に圧巻であり、造形的にも美しいと思う。このア-チのモチ-フも戦後沖縄に数多く点在していた石造りア-チ橋やグスク(お城)に見られる石造文化をもとにしていると聞いた事があり、ロマンも感じさせてくれる。またア-チ橋の下にはひっそりとした小さなダムがある。しかしこの小さなダムが実は国場川の源流の一つなのだ。源流を南風原ダムとし、悠々と流れる国場川を形成し東シナ海へと繋がっている。沖縄県の自治体では唯一海のない南風原町かもしれないが、東シナ海の源流の一つを形成するロマンある自治体なのだ。そのダム近くに小さな焼き鳥屋さんがあり、味も最高で、ヴォリュ-ムもある鳥肉である。東シナ海の源流である南風原ダムを背に世界一の21連橋を眺めながら、美味な焼き鳥を食すとかなりの贅沢感が堪能できるスポットである。 その外にも高架橋下には面白い施設がる。南風原インタ-北口を降りてそのまま高速下を走らせていくと、「花・水・緑の大回廊公園」が見えてくる。高架橋の下を有効活用して出来た憩いの公園である。公園には憩いのスペ-スをはじめ、バスケットやフットサル、スケボ-なども楽しめる。高速下の大空間を利用しているので多少の雨でも楽しめるのである。なんといっても若者たちが楽しめるスペ-スが減りつつある現在において、若者の居場所づくりは今後の街づくりにおいて大切な要素である。 常日頃、見慣れた風景や景色などに価値を見出すことは結構難しいものではあるが、実際身の回りのありきたりな日常にこそ大きな価値は見え隠れしている。その価値を見つけ出し情報を発信し展開していく事が今後の地域の魅力興しとなるのではないだろうか。
(記載:ISO品質管理責任者-金城司)