今回は、今夏の休暇で訪れたイサムノグチ庭園美術館についてお話しようと思います 。

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場所は、香川県高松市牟礼町…。
非常に良質な花崗岩、「庵治石」の産地で、建築的にも有名な地。

彫刻家イサム・ノグチ氏は、石の研究と創作活動のため、この地にアトリエを構え、以後20年余りの間、NYと往来しながら、数々の作品を制作。

現在、そのアトリエや展示蔵、住居、彫刻庭園などが美術館として一般公開されています。

この美術館は、火・木・土しか開館おらず、往復葉書による完全予約制。
と、かなりハードルが高く、気軽に見学に行ける場所でもありません。しかし、それでも私は見たいんだ~!! という熱意ある見学者達がたくさん訪れていました。

庭園内150点あまりの彫刻作品を含め、アトリエなど、全て撮影禁止ですので、ここでお見せできず誠に残念なのですが、彫刻作品、アトリエ、住居とも、ただただ「素晴らしい」の一言…。

幾何学的、西洋的な要素と「和」の思想をあわせもった彼独自の感性がどの作品にも表れているように感じました。

作品から、僕が感じたコトは、

彼の自然石に対する尊敬の念…。

自然石、それぞれの個性を尊重したうえで、石それぞれに心を開かせるため、まるで対話するように彼の意志を刻み、宿しているように感じました。


彼の彫刻は、その一部を刻むだけで、意志が全体に波及し、自然石がもつ、文字通りの自然さと、非自然さ(幾何学的意志)がコントラストを生みだし、一つの作品の中で互いに讃えあっているようでした…。
重要なのは、石(自然)を支配するのではなく、石と時間をかけて対話し、その要所を見極め、少し手を加えるだけで、石を活かしてやること。
そう教えられたような気がしました…。

そして、それは、建築にも、
さらに現在社会全般にも言えることではないかと…。



住宅建築でも、敷地やその周辺の自然環境を完全に支配、強引にコントロールしようと、全てを人工物で埋め尽くすと、すごく息苦しく、住みづらい建モノになってしまう…。

イサムノグチ氏の彫刻のように、対象(敷地・自然景観)の個性を良く読むことで、その持ち味を引き出し、人工物(建築)と自然が互いに引き立てあう建築デザインが、今後求められるように感じました。

イサムノグチ庭園美術館…。彫刻に興味がある方のみならず、一度ご覧いただく価値のある作品ばかりです。

是非一度、足をお運びください。