過日、東京国立博物館の東洋館で興味を惹かれる物を見ました。イラク
から出土された紀元前24〜25世紀の銅製の定礎神像です。日本の建
築様式は石を置いて作る物ではないので最初に石を置く事は有りません
でした。ですから定礎が有りません。しかし現在のビル建築に見られる
ように建物には「定礎」と書かれた銘盤を見ることができます。定礎と
いう考えは完全に輸入された物と考える事が出来ます。そして本来の定
礎に用いられた像が画像の物のようです。この像を打ち込む事によって
神に祈りを捧げたと見られています。現在の日本の定礎式は完成時に行
われ銘盤の奥に完成時の設計図や新聞などが入った鋼製の箱を設置する
のが多く見られます。本来の定礎とは大分違った形になった物です。
そう言えば、何年か前に住宅にも定礎板を設置しようと言う提案が建築
ジャーナリズムを通してされていて、その定礎板に設計者の名前を書き
入れようと言う事でした。私も何件か見ましたが、最近の住宅で見た事
が無いですが、皆さんは見た事有りますか?このブログを読んで戴く建
築主の方にはそのような定礎板を設置する事をお勧めします。それは、
建物が出来る過程が建築主と建築家と施工者がハッピーな関係であった
証拠と思うからです。神頼みでない信頼された関係を表す物と言えるの
では無いでしょうか。