僕の事務所の玄関前に、自転車が一台置いてあります。

もう20年ほど前に、高田馬場の駅近くにある某自転車やさんで作ってもらったレーサータイプのものです。別にレースに出るわけではないし、そんなに遠くまで行くこともなく、事務所の廻りを走っているだけなのですが、これがすごく気持ちいい。

こういう自転車に乗ったことのある人ならば解ると思うのですが、普通の自転車とはまるで違う。自転車に乗っているというよりも、自分の体と自転車が一体になって、動いていると言う感覚です。

その原因は、なんと言っても自転車が非常に軽く出来ていて、各部材が細いということに尽きます。

                       

車でも同じことが言えて、僕が今乗っている車は、小さくて、かなり軽い。エンジンにそんなにパワーがあるわけではないけれど、この軽いおかげで、自転車の時と同じ気持ちよさ、自分の体と一体になって、思うままに動いてくれると言う感覚があります。

 

住宅の設計にも同じことが言えるかもしれない、とよく思います。

大きくて、予算に余裕のある家もいいのですが、小さな家と言うのは、又別な設計する楽しさがあるような気がします。小さくて、予算もなければ、当然シンプルに、余計なものは全て剥ぎ取って設計しなくてはならない。その中で、デザインとして成り立つように、色々と工夫を重ねてゆくところが醍醐味ともいえるかもしれませんね。

自転車や車と同じで、小さくて、シンプルと言うことは、人間のスケールにより近い存在と言うこともいえるかと思います。

 

設計が終って、工事が始まった世田谷の住宅も、敷地が10坪を切って、延べで18坪ほどの、本当に小さな家なのですが、住宅として成り立つぎりぎりまで切り詰めた、潔さが結構気に入っています。

これから工事が進んでゆくのを楽しみにしています。