先日、5年前に建てた家についてのご相談が ありました。
既存の建物のことについてでしたので、とりあえず、お伺いして話を聞くことに。

リフォームのご相談かな~、とお伺いしたところ・・・
木造ではなく、コンクリート造の家でした。ここが難題の始まり・・

「とにかく住みづらくて仕方がない。リビングに日が当たらない。」
「建物を半分壊して、日あたりの良いところに増築できないか。」
「曳き屋して、日あたりの良いところに家ごと移動できないだろうか。」
「新築して家族の仲が悪くなった、家の間取りのせいだろうか。」
「今の建物を壊すとしたら一千万円くらいかかるのでしょうか。」

お客さまなりに、いろいろ考えられたのでしょうね、次から次へと矢継ぎ早に質問が。

敷地は100坪はあろうかと思われる、余裕のある立地です。
しかしながら、何故かLDKは北東の一番日の当たらないところに・・
そして、お風呂は南側の一番日あたりの良いところに・・
一番条件の良い東南の角は、客間の和室が2間続きで・・現在、誰も使ってません。

日あたりだけの問題ではなく、間取りの悪さも相当のものでした。
家族がゆったり過ごしたいLDKが、細長の形で、アパート以下のしつらえでしたねぇ。
施工状態もひどかった・・・。築5年で、壁紙があちこちツギハギだらけ。

お客さまからまず聞かれたこと・・
「設計する人は日あたりのことは何も考えないで設計するものなのですか?!」

「いいえ!日あたりと風通しは最重要課題です!」

「こちらは初めて家を建てるものですから、良くわからないので、建築のプロである工務店さんに全面的にお任せしたんです。そしたら、こんなに住みづらい家になってしまいました。まあ、こちらが勉強不足だったということで、高い授業料を払わされたってことですかねぇ・・」

私「・・・・・・」

お客さまはとにかく、建物を半分壊して、増築したい!気持ちが一番のようでした。
ですが、コンクリート住宅は木造と違って半分だけ壊す、ということはまず無理です。
壊すことは考えず、内部を全面リフォームして住みやすく間取りの入れ替えはどうですか?
とご提案したのですが・・・どうもリフォームはピンとこない様子。

半分壊すのが無理なら、全部壊して建て替えたい!!とおっしゃるのです。
まったく、ここまでお客さまを追い込むなんて・・この家を建てた責任者出て来い!!

たいていの人は、家を建てるのは初めての経験。
何もわからなくて当然なんです。だからこそ、建築のプロがきちんとリードしてあげなくては。
住んで100%満足は無理でも・・・
この方のように、建ててしまってから後悔している人も多いのでしょうか・・。

まずは解体の費用がどのくらいかかるのか知りたい!とのことでしたので、
業者さんにざっくり見積りをお願いしました。
約40坪のRC住宅の解体費用は税込みで250万円程度。
木造住宅の解体の倍くらいの価格です。

しかしながら、ケチな私は、5年でRC住宅を壊すことはやはりオススメできません・・
間取りを入れ替えることでかなり快適な住まいを実現できる直感がありましたので、
こことここを入れ替えれば、ご希望の住まいに近づけられますよ・・としつこく?説明。

それでもやはりお客さまは???のようでしたので、
最近出来上がったばかりのスケルトンリフォームしたお宅に案内することに。

スケルトンリフォームですから、当然のことながら、見た目は新築同様。
間取りも以前の建物とはまったく違います。階段の位置さえも。
リフォームでここまでできるの?!と、さすがにお客さまも心を動かされたようですが。

「工夫しだいでどうにでもリフォームできす。ただ、RC造の場合は窓の大きさを変えられないのが致命的ではありますが・・」

さて、この先どのように展開していくのでしょうか・・・
いずれにしても、5年で建て替えを考えさせるような家づくりをしている工務店・・
はっきり言って、犯罪です。本当に腹が立って仕方がありません。

もちろん優秀な設計者をかかえている工務店もいますが、
営業マンが片手間に間取りを考えているような工務店もたくさん。
もちろん、ハウスメーカーも同様です。

餅は餅屋。このような不幸なことにならないためにも、設計者を間に立ててくださいね。
あー、腹がたつ。


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