2007年 3月の記事一覧

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07年03月22日 18時46分53秒
Posted by: matsuosekkei
■私が設計した家に住むお客様の感想をくっつけてみると下記のようになりました。■  
ちなみにこれが私の考える理想の住まいです。


●「冬の朝、家全体が暖かいので起床するのに奮起することもなくすっと布団から
出られます。寝ているときも過度に布団をかけるまでもなく、顔や、肩口が寒い
という事もありません。湿度が適当なのでのどがカラカラになるようなことも減りました。
夜トイレに立つときも廊下まで同じような温度なのでこれもまた快適です。布団から出ても
適度に暖かく、着替えるのも楽に着替える事ができます。ファンヒーターを前夜にタイマー
セットする必要もなければ、その前でちじこまって着替える必要もありません。

●キッチンに下りていくとそこも同じようにほのかに暖かく、ダイニング・キッチンとも朝日
が差し込んでおり、とても気持ちの良いひと時です。家族みんなで食事をして、みんな
それそれでかけていきますが、それからは太陽がどんどん昇ってきます。それにしたがって、
部屋は少しづつ暖かなっていきます。でも夏は余計な日差しはほとんど入って
きません。昼間は家中どこにいても太陽の光が入ってくるので真っ暗な場所はありません。
光の取り入れ方と遮断しかたがいいんだと思います。そういえば前の家に比べてクーラーを
使い始める時期が1〜2ヶ月遅くなったように思うし、つけてもすぐに消すようになったかな。

●夕方になってお母さんが家に戻ってきます。玄関を開けるとほんのり暖かいので、
家が温もるのを待つ必要はありません。帰った瞬間からほっとすることができます。こんなに暖かい
のならきっと光熱費はものすごいのだろうと見てみると、これも意外と安く上がっています。それに
灯油を入れる必要もなければ、空気を入れ替えるために窓を開け閉めする必要もありませんし、
結露で窓がビショビショということも皆無です。

●子供たちが帰ってくるのですが、玄関から直接階段があるわけではないので勝手に上に上がって しまうということはありません。でかけるときも必ず家族と顔を合わせるので話すきっかけになります。

●家には木の香りが漂っているので、来客の方には木の香りがするといわれますが、
自分達には当たり前になっているので、もうその香りに気がつくことはほとんどありません。引っ越し
てくる前に少しアトピーのあった子どもは少し症状が軽くなりました。家中どこも空気がきれい
なので、犬や猫を飼っていても来客の方にもその臭いはあまり感じられないようです。

●夜、帰宅時は、アプローチを通り玄関に行くまでに軽く照明に照らされた家を眺めます。この瞬間は毎日
少しほっとする瞬間です。外構や植栽も含めてトータルでデザインされているのでバランスがとれてきれい
です。家に入ると、オフィスのような青白い空間ではない、暖かな雰囲気を味わえます。夕食を家族で食べるの
ですが、テーブルのすぐ上で照らされた照明は何気ない普段の食事もちょっとおいしそうに見せてくれます。

●食事が終わり、お風呂に入ります。木の香りのするお風呂からは坪庭を眺める事ができ、一日の
疲れが抜けます。こんなお風呂なのにそんなに高くなかったし、お手入れも下半分がユニットなので
とても楽。そういえば洗面脱衣や便所、床下、ロフトにも収納がたくさんあって小さな家かもしれないけれど、
打合のときに棚の段数までいちいち打合した甲斐あって物がスッキリ納まった。引っ越してだいぶんたった
今でも部屋がスッキリ広く感じています。気づいてみると、あまり間仕切りがないことや目線が抜けるところが多いので面積
の割にはとても広く感じます。空間が立体的なので子どもだけでなくペットまでも家中を縦横無尽に走り回り
ます。休みの日にはウッドデッキでバーベキューを楽しんだりもしています。そんなこんなで前の家にいたころに
比べると出かける時間が少なくなりました。」



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長い文章でしたがこんな家を作るにはどうすればいいでしょうか?

家を建てようとするあなたは、当然建築のプロではないので誰かに頼まなければなりません。

そこで、「いざ頼むぞ!」となったときにあなたはどのように決めるでしょうか?

いろんな方法があるでしょうが

意外と単純な理由で一番高い買い物を決めていませんか?

住宅よりずっと安い車を買うときですら、あちこちの雑誌や
カタログを読んだり、試乗したりしながら、デザイン、性能
価格等いろいろはかりにかけながら、かなりの労力をつぎ込んで
その車を選んでいると思います。

ところがいざ住宅購入となってみるとほとんど検討もせずに
住宅展示場に足を運んだあと、営業攻勢に流されるまま決まって
しまう人が大半だと思われます。

その過程で数社のカタログや営業トークを聞けば、なんの知識もない人も
ある程度の「常識?」というものが身につきます。

が、それは本当に客観的なものだといえるでしょうか?
また自分でそれを検討したことがあるでしょうか?
その結果、「家にいる時が一番快適」
といえるような結末を迎えることができるでしょうか?

そこで、家を建てる前に知っておいて
頂きたい基本的な知識だけをお伝えしようとと思います。


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その前に住宅には万人にとって必要不可欠な条件があります。

それは・・・
「大地震が来ても壊れないこと」
「30年やそこらで使用不能にならないこと」
などの条件です。

これらの条件は新築する上ではもはや「当たり前の条件」であり、
今の世の中において、「これを満たすだけで満足する方はほとんどいらっしゃらない」
というのが実情です。

(これらの条件を満たしていない住宅も数多く存在し、俗に「欠陥住宅」といいます。)


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 ここからが本題です。
「家にいる時が一番快適」と感じるのに一番大事な事は
「精神的なやすらぎ」であると私たちは考えます。

では多少ながらも、住宅という箱が「精神的なやすらぎ」を生み出すように
するにはどうすればよいのか?

それを考えるのが建築設計事務所の仕事です。

 私たちの建築設計事務所は次の3本柱を考えます。

●その壱 そのままですが「精神的なやすらぎ」です。
●その弐 「健康に暮らせる」
●その参 「長い目で見た経済性」
 この中でも、その壱が一番重要であり、その弐、その参は
その壱を支えるための条件だと思っています。

 しかしこの三つは強くお互いに影響しあっています。

ストレスがたまると体調が悪くなり、
体調が悪くなると働けなくなり、
その結果経済的余裕がなくなって、
それが更なるストレスとなるように・・・。

現代社会での生活においては、この三本柱はどれが欠けても
「快適な生活」は成り立たないと考えます。  

住宅メーカー、工務店、建築設計事務所・・等がさまざまなうたい文句で
自社をアピールしていますが、結局はどのうたい文句も三本柱の
どこかを埋めようとしていることに気がついていただけるでしょうか?

三本柱を理解していれば、多かれ少なかれ
「家族にとって最高の住まい」
から大きく踏み外すことはないと思います。

あなたがどこで家を建てられるとしても、判断するときに3本柱の内一つでも大きく欠ける
ような家には注意が必要です。なぜならどれが欠けても結局は悪循環に陥ってしまうからです。

 ●ここからは項目ごとにお話ししたいと思います。●


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その壱 「精神的なやすらぎ」

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これは人によってかなり異なることですが、住宅の場合は以下のようなことに基づいていないでしょうか?

その弐の「健康に暮らせる」  痛いところがあったり、寝不足、慢性疲労等があるとつらいですね。
その参の「長い目で見た経済性」 経済的に余裕がなくなってくると精神的にも余裕がなくなってきます。
満足できるデザインの家に住んでいる。「満足できるデザイン」のページへ   ※デザインは人によって好みがあります。また建築設計事務所によっても得意とするデザインは異なります。  ここで知っておいていただきたいことがあります。それは、 「腕前と趣向は異なる」ということです。飲食店に例えるなら、 腕前とは料理の味であり、趣向とは和・洋・中の分類のようなものです。「一流の和食店に行って、洋食を頼むことがどういう結果になるか・・・。」説明の必要はないはずです。 そういうことを避けるには、まずは「その建築設計事務所がどのようなデザインを得意としているのか?」を見極めることが重要です。   和食店にいって洋食を頼むようなことのないように・・。 「そんなばかな!?」と思われるかもしれませんが、この業界では和食店でも「洋食つくれますよ」という会社はたくさんあります。
狭く感じることのない家に住んでいる。 (必ずしも床面積が大きいということではありません。広く感じさせるということです)
落着く事ができ、年とともに味わいを増していく。  ※自然素材にはそういう力があります。
家族の仲をとりもつことができる。 一例をあげると、玄関を入ってすぐに2階に上がれるような階段の家は 思春期を境に親子の会話がとぎれてしまう可能性が非常に高いです。 このようなプランニング上での留意事項はたくさんあります。 あなたが気づかないことを、どこまで説明しながら設計していくかが大きなポイントとなります。
設計者(建築設計事務所)との相性があうこと。 仮にまったくデザイン、価格、性能がまったく同じ建物ができたとしても  設計者との相性がいい場合は、実際よりもよくみていただける場合が多いですし、  その逆も又しかりとなってしまいます。

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その弐 「健康に暮らせる」

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その壱の「精神的なやすらぎ」   ストレスが多ければ体はおかしくなっていきます。
質の高い温熱環境と空気環境 「質の高い温熱環境」のページへ
                   「高気密と換気」のページへ

   ・夏涼しく、冬暖かいとうよりも春や秋のようなナチュラルな環境
   ・家全体において温度差がなく冷暖房が効いている部屋しか使わない
   などというようなことはおこらない。
   ・モーターや、空気の流れる音などができるだけ小さいこと
   ・家の内部での空気の経路を考慮し、空気の吹き溜まりをつくらないこと
      (これは風水の考え方にもあります。)

上記の条件を年中、昼夜を通して実現しても、光熱費が気にならないこと
様々な点を考慮の上例外を除いて木造住宅をお勧めしています。「木造住宅を勧める理由」のページへ
化学物質はできるだけ利用しない。  「自然素材とシックハウス症候群」のページへ
                      「接着剤を研究している友人の話」のページへ
最後に本当に基本的な話ですが、家で死なないためには・・・。

地震で倒壊しない(当たり前です)
火事で避難時間を確保できる。(燃えにくい)

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その参 「長い目で見た経済性」

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まずなによりライフサイクルコストを下げることを優先に考えます。 (ライフサイクルコスト=イニシャルコスト+ランニングコスト+補修等にかかるコスト) 建てはじめから解体までにかかる全ての費用の合算であり、あなたが 快適な生活を維持しながらも、月々のキャッシュフローが良くなるよう 全体的に考えます。よって最初の建物価格だけが安くても意味がありません。。
構造体を長持させるためにできるだけ外断熱を推奨します。「断熱性と外断熱」のページへ  (構造体さえしっかりしていればほとんどのものは取替えがききます)。
設計と施工が分離していることにより、建築設計事務所があなたに
  代わって数社に見積りを出させ、トータルコストをさげることができる。
断熱・気密性能を高めること、給湯器、エアコン等熱源機の適切な選別により、
    生活がはじまってからのランニングコストを低く抑えることができる 「ランニングコスト」のページへ
店舗併用住宅、賃貸住宅併用住宅など、キャッシュフロー的に有利な
  住宅の提案を行う。
できる限り「冷暖房設備」「照明器具」「植栽」は最初からすべて
  コストにおりこんで設計することにより、全体的に見て質の高い
  空間を作ることができ、又、あらかじめ予算計画をしやすくする
  ことができる。
特定業者の利益のためではなくあくまであなたの利益を第一に考える
  ので構造、その他細かな部材にいたるまで、物件ごとに応じた柔軟な
  対応が可能です。(建築設計事務所の利点です。)

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以上、長々と説明させていただきましたが、これだけは知っておいて
 頂きたいということだけを書いています。

家を建てるということは、
「あなたの考え」「土地」「建築基準法」「予算」「設計者事務所の考え」がせめぎあった結果、
 形が浮かび上がってくるものです。
よって一つたりとも同じ建物ができることはありません。

私たち建築設計事務所は、常日頃から各種工法、商品について日々探求し、その時点でデザイン
コストパフォーマンス上最良と思われるものを提案するべく設計させていただいています。

ただ、それだけでいい家は建ちません。

「いい家を造るには、良い設計と良い施工の両方が必要です。」
つまり設計図とは、家を建てるための説明書であり、実際に建てるのは
工務店で、いくら設計がよくてもそのとおりにきちんと施工されなければ、
決して「いい家」にはなりません。

その逆もまたしかりでいくら図面に忠実な施工を行う
優秀な工務店であったとしても、設計が悪ければやはりいい家にはなりません。

よって設計図が完成し、施工業者を選定するときも一概に価格だけではなく、
そのような点も含めて考慮します。

又、実際工事が始まってからも、図面どおりに施工が行われているか
どうかチェックするのも建築設計事務所の仕事です。

その他に設計と施工が分離しているので、悪いところがあれば
すぐに直させることができます。

これを「監理」といい、現場管理とは違った意味で使われます。

一般的に建築設計事務所が設計料というのは「設計監理料」のことを表します。

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私ども建築設計事務所の目的はあなたの
「精神的なやすらぎ」「健康に暮らせる」「長い目で見た経済性」をみたすために、
「熱環境工学の知識」「デザイン」「イニシャル、ランニングコスト」
「自然素材の利用法」をバランスよく設計し、納得の上で設計料を頂く
ということです。 

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※こんな思い違いをしていませんか?※ 
● 設計料の話ですが、具体例を挙げます。
ある物件で、工事費が2200万円になるよう書いた図面を
5社の建設会社に見積りを出させました。
その結果約1900万〜2600万までの開きがでました。

結果として予想より300万円浮かせることができました。
このように工事費の2割程度の差は簡単に開きます。
当社の設計料は住宅の場合、6万円/坪で考えています。
これは例えば35坪の家ならば210万円となります。
メーカー等で同程度の家を建てるには設計料は無料ですが2500万円以上のコストが
かかる場合が多いので1900万+210万=2110万の場合に比べて設計料を含めて考えても400万円近い
差がつく上に、設計の自由度にも大きな差があります。

またご心配される方が多いのですが、プラン作成の前の相談は無料です。その後納得いただいて、プランを作成する事になった場合、預かり金として3万円いただきます。プラン提出後、ご契約頂いた場合は設計料からこの金額を差し引きしますので事実上プランは無料となりますが、契約に至らなかった場合はこの3万円をプラン料としていただきます。以前は無料にしていたのですが、プランの持ち逃げのような行為をされる方がいらっしゃったのでこのようなしくみに変更しました。これらの数回のやり取りでどうしても気に入らない場合は遠慮なく断っていただいて結構です。

こう書いていくと設計事務所で家をたてることはいいことずくめにみえるかもしれませんが
欠点もあります。それは設計契約を頂いて実施図面が全て完成するまでは、概算見積は出せても
完全な見積の提示ができないということです。ということは計画当初において予算計画が
たてにくいということになるのですが、1回目の見積で予算が合わなかった場合も予算が
合うまで減額項目の検討や打合をさせていただきます。

● 建築設計事務所の敷居は高い?
昔はそういうこともあったかもしれません。

また今でも高層ビルなどを中心に手がける事務所や、
一部の有名な建築家の建築設計事務所においては
  あてはまるかもしれません。

しかし当建築設計事務所のように住宅を中心として活動している建築設計事務所においては
そんな心配はまったくありません。

あくまでお互いに楽しみながら納得をいく住まいを作って喜んでいただき
正当な報酬をいただくということが基本です。

ちなみに最近で最もローコストな住まいは30坪で照明、外構、消費税込もちろん
高気密高断熱で1600万円のものがあります。

07年03月19日 12時01分10秒
Posted by: matsuosekkei
事務所名:有限会社松尾設計室  
名前:松尾和也

住所:兵庫県明石市
TEL:078-928-4777
FAX:078-928-4838
メール:matsuo@matsuosekkei.com
ホームページ:http://www.matsuosekkei.com
ブログページ:http://www.shigyoblog.com/matsuosekkei/

士業種:建築士
所属団体:建築士会 建築士事務所協会 建築家協会 外断熱推進会議 新住協
経歴・実績:2005 IBEC サスティナブル住宅賞受賞
趣味・マイブーム等:読書、水泳、テニス

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