「障子のある空間=和室」ではありませんが、和室に使われる事が多いのは事実です。
一昔前の家なら、玄関入ってすぐの場所に<客間>と呼ばれる和室が設えてあり、お客様がいらした時には、家長がその部屋で、お持て成しをしたものです。背中に床の間を控えた上座に座り、客人を持て成す様は、戦国武将のそれから来ているのでしょう。ですからその部屋には家族と言えども、軽々しく立ち入る事はなく、子供がその部屋で騒ごうものなら、それだけで叱られたもの。

つまり家と言う空間に内包された「ハレとケ」だったのたと思います。
今はそんなに大仰な場所はありませんが、それでも障子が持つ魅力が日常の中の非日常に、繋がる事はあるかもしれません。

近頃では「ハレ」が無くなり、「ケ」ばかりとなってしまいましたが、障子の持つ脆さ、はかなさ、弱さと言ったものが、家の中に緊張をもたらせてくれる事は確かです。

汚れない物、破れない物、掃除が簡単な物には、それぞれの魅力がありますが、あえて逆を行ってみるのも、また一興かと思うのですが、如何でしょう。
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天工舎一級建築士事務所