2011年 6月の記事一覧

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11年06月30日 09時00分00秒
Posted by: odada2
「むかしむかし 図面は手で描いておったのじゃ・・・」の頃。製図用鉛筆ホルダーで 芯研器を使って芯を尖らせながら(→後期は 3ミリシャープペン・・力を入れるとすぐ芯が折れた) 直線は 平行定規・三角定規・勾配定規(→後期はドラフター)で 描きましたが 曲線と文字をキレイに見やすく正確に描くために いろいろな道具がありました。円は 円定規(「まるかき」と呼んでいました)・コンパスで 曲線は 雲形定規で合う曲線を探し 文字は 数字・アルファベットのテンプレート(テンプレートって今はIT用語ですね)で描いていました。文字は その他に ゴム印(建築用語印一式2万円)もありました。テンプレートはスピードが落ち ゴム印は訂正が大変 で 文字も手描きできれいに見やすく描けるように練習しました。
TOTOが 衛生陶器全種類 それも1/50・1/100・1/200の型板を日本中の設計者に 無料でくれました。
使わなくなって久しいのですが この道具たちが いまだに 捨てられません。
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11年06月27日 09時00分00秒
Posted by: odada2
今 図面はCADソフトを使って パソコンの画面で描いていますが あの頃(どの頃だ?)こんな『未来』が こんなに早く来るなんて 思いもしなかったむかしむかし 「設計屋は 図面を手で描いておったのじゃ・・・」という話です。「あの頃はたいへんだった」という話ではなく 逆に「あの頃は愉しかった」という『じいさんのむかしばなし』ですから 聞き流してください。
図面1枚1枚を手で描くなど 気が遠くなるような感じがするかもしれませんが 図面1枚1枚が自分の「作品」で いかに美しく見やすく仕上げるかを考えながら描いていました。図面を見れば誰が描いたものか すぐにわかりました。こんな図面です。
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正確に見やすく描くために 数字とアルファベットは 型板(テンプレート)がありましたが 使わずに描けるよう練習しました。これをトレーシングペーパーに H~3Hの鉛筆を使い分け 芯研ぎ器で芯を尖らせながら シコシコ描いていたわけです。楽しそうでしょ?設計変更があると 変更部分をケシゴムで消して描き直すわけですから 図面が汚れて悲しかったです。(1枚全部を最初から描き直したくなって 困りました)

11年06月23日 10時00分03秒
Posted by: odada2

『ゆめが丘』 神奈川県の私鉄 相模鉄道いずみ野線の駅名です。かなり思い切った名前です。駅が完成するまでは「(仮称)下飯田」だったようですが(すぐ近くにある横浜市営地下鉄の駅は 実際に付近の地名の「下飯田」です) 相模鉄道が 「文化田園都市」構想の街づくりをめざして 『ゆめが丘』と名付けたそうです。子供に こう育って欲しいと名前を考えるのと一緒ですね。いずみの線に乗ったことのない方は 『ゆめが丘』という駅名から いったいどんな街なのか見てみたいのではないでしょうか?ごらんのように いまだ 「未来のゆめ」以外なんにもない駅です。(※写真右側の高架駅です)(もちろん 自然の香りと新鮮な野菜は いっぱいあります。お住まいのかた ごめんなさい)

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相模鉄道線には もうひとつ『希望が丘』という明るい名前の駅があります。こちらは
戦争が終わって 復興をめざした昭和23年に新しい駅として誕生し 住民投票で名前を決めたようです。こちらも 気持ちがよくわかります。
『ゆめが丘』うちの子供と同じ「大器晩成」を信じて 20年後 30年後に行って見ましょう。どうか 名前ににふさわしい「ゆめのような」街になっていますように。

11年06月20日 09時34分25秒
Posted by: odada2
横浜 みなとみらい駅の地下ホームから見えるクィーンズタワーのアトリウムです。
初めて このホームに降り立って この光景を見上げた瞬間の『未来都市だ!!』という感激は 今でも思い出します。(兄に「おまえは 言うことがいちいち オーバーなんだよ」とよく言われますが・・・・) 
建設中の東海道新幹線が『夢の超特急』として少年雑誌のグラビアを飾った昭和30年代のボクたちの『未来都市』です。そこは 空が見える透明なドームで覆われ 気候は いつも春の穏やかさ。 見上げるガラスの高層ビル 透明のチューブの中を上下するエレベーター。個人用通信機(イメージはスーパージェッターの腕時計型でしたが・・)を持ち歩く人々。空中廊下エスカレーター・動く歩道・・・。
これで ロボットが歩き エアカーが飛んでいないのが ほんとに残念です。
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11年06月16日 09時23分45秒
Posted by: odada2
設計屋と打合せしながら 「よし 鬼門はクリア!」となったとしても そもそも 「家の中心って どうやって決めたのだろう?」と思いますよね。家相の本 それも かなり厳しい内容の本でも 建物の中心の決め方については 「厚紙で家の形を切り抜いて 針の上に載せてバランスがとれた位置」というような とにかく誰でもできる 確実な方法で説明されていたりします。
私は 図形の中心を求める計算をして決めています。「簡単な計算ですので もちろん 誰でもできますから」などと言うと 数学がキライだった人はムッとするかもしれませんが 自信を持って『計算で・・・』ということにしておいてください。
計算は 家の各階の平面図を使います。中心の位置は 縦・横 別々に計算します。
1.基準点を決めます。(計算上は どこでもいいのですが 左下隅がわかりやすいで   す)
2.家の外形を四角のブロックに分割して それぞれの面積と中心(対角線の交点)を出  します。
3.基準点から中心までの距離を 縦・横 別々に計算します。(定規で測ってもOK)
4.それぞれ四角のブロックの面積と基準点から中心までの距離を掛け算して さらに   その結果を合計します。(縦・横別々です)
5.その合計を それぞれ四角のブロックの面積の合計(ということは全体の面積です)  で割ります。
6.割り算の結果が 基準点から全体の中心までの距離です。(縦・横別々)
誰がやっても 結果は同じですから 設計屋にやらせておけば 大丈夫です。
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11年06月13日 09時00分00秒
Posted by: odada2
さらに 設計士/現場監督/ 大工さんとの会話をスムーズにするため 寸法をミリ単位で呼称することに慣れてください。
普段の生活では 寸法はメートル/センチで表すことが多いですが 建築図面はミリ単位で表記され 呼称するときは 「ミリ」をつけずに数値だけです。
「91cm」は 「910(きゅうひゃくとお」です。私たちが 建築主さんに説明する時は メートル/センチに言い換えますが これを言い換えないで済むと 気持ちがグッと近づきます。
以下 私と私の廻りでは こう呼んでいます。
「1cm」→「10(とお)」(※なぜか 10だけ「とおミリ」と「ミリ」をつけることもあります) 「10cm」→「100(ひゃく)」
「45.5cm」→「455(よんごーご)」(※なぜか「455」だけ「よんひゃくごじゅうご」と言わない) 
「1m」→「1000(せん)」 「1m82cm」→「1820(せんはっぴゃくにじゅう」あるいは「1m820(いちメーターはっぴゃくにじゅう)」
でも 大事な寸法を聞き間違えるといけないので 建て主さんには メートル/センチで話した方がいいですか?
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11年06月09日 09時00分00秒
Posted by: odada2
横浜山手の洋館「外交官の家」の話です。明治34年の建築 設計者は宣教師ガーディナーさん。アメリカンビクトリア様式だそうです。観光案内では こちら すばらしい庭側の外観が多く見られますが
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ガーディナーさんに会って聞いてみたいのは アプローチ側 この洋館に暖かく迎え入れてくれるような優しい雰囲気の玄関ポーチと屋根のデザインです。
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ごらんのように 屋根を日本建築的な入り母屋で造り ポーチ柱を前面に出さず 大きな
片持ちの跳ね出しにしてあるのは 洋館では珍しいのではないでしょうか。アメリカンビクトリア様式(装飾したポーチ柱と屋根で正面玄関を強調する)のデザインではないだろう・・・という気がします。入り母屋を生かすために ポーチ屋根の勾配は 本体屋根よりきつくなっていたり 矢切(三角形部分)の下見板がウロコ状に成型されてたりしています。玄関ポーチは この屋根で このデザインでなければならない思いが感じられます。ガーディナーさんに会って教えてくださいと頼んでみたいですね。きっとやさしく
答えてくれそうな気がします。
11年06月06日 09時00分00秒
Posted by: odada2
「尺/寸」は 使う人が限られていますが どういうわけか 土地と住宅の面積に関しては 「坪」がやたら幅を利かせていますね。 
「140㎡」というより「40坪」というほうが はるかに納得した顔をされます。「坪いくら?」なんて会話もありますし・・・。
設計図には 「面積表」という面積の計算書をつけますが 当然のように「㎡」を「坪」に換算して併記します というか させられます。
で 「㎡」と「坪」の換算方法です。一般に 1坪=3.3㎡と理解されていますが 1坪は1間×1間で ここで1間は図面で使っている1.82mではなく 昔からの(というか実寸に近いというか)1.81818mで計算します。(ちょっとややこしいですが) 1坪=1.81818m×1.81818m=3.3057785124㎡となりますから(手持ちの度量衡換算表では 3.30579になっています) 
1㎡=1÷3.3057785124=0.302500605坪になります。
幸い 「0.302500605」は 0.3025の後ろに0が続くので 小数点以下2桁までの計算に誤差がでないのと 覚えやすいので 換算には この「0.3025」を使います。と いうことで ㎡×0.3025=坪 で換算しています。新聞折込みの不動産広告のチラシで確かめてください。

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土地面積132.93㎡×0.3025=40.211325坪(小数点2位以下は
切捨てて表記しますので 40.21坪÷0.3025は132.93㎡になりません。
ご注意ください)
建物面積137.84㎡×0.3025=41.6966坪 ということになります。
   
11年06月02日 09時00分00秒
Posted by: odada2
建築家 安藤忠雄さんの名前を聞いたことのない方は 少ないと思います。
安藤忠雄さんが テレビのインタビューの「特別に印象に残っている建築は?」という
難しい質問に 少し考えたあと 「建築にかかわった人たちの思いが強かった」のでと 『光の教会』を挙げておられました。安藤忠雄さんの思い かかわった人たちのその思いを共感することができて「建築が好きになる」物語が この本です。
(教会という建築は 住宅・公共建築・商業施設にくらべて その理想とする目的・空間への思いを 私たちも想像しやすいはずです。)
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「一つの建築をつくりあげる過程では 実にさまざまな 悪くいえば邪魔くさい雑事を
 山ほど こなさなければならない」と この本の中にあります。
著者の平松剛さんが 建築に必要な「雑事」の意味・内容を また 建築家安藤忠雄の
思い この大切な山ほどの「雑事」をひとつひとつこなしていく人たちの思いを 
ていねいに わかりやすく紹介してくれます。どんな人たちが登場するのか 愉しみに
してください。
『そうしてつくり上げていくことによって 建築が好きになる。その建築を好きになる
 ことが重要です。』安藤忠雄さんの言葉だそうです。

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