エコハウスの真実シリーズ 22 大開口の注意点

前回までの数回では熱損失係数Q値と日射取得係数μ値から冷暖房費
を計算してみました。Q値とμ値というと難しそうでとっつきにくい。高断熱
住宅を目指すわけではないので必要ないですよ。なんて言い訳けして避
けている方も多い事でしょう。

Q値やμ値は高断熱住宅を目指すために算出するのではありません。
住環境性能を分かりやすく理解するための道しるべのようなものなのです。

何度でも言います。Q値やμ値を算出しないということは住環境に責任を
持たないということと同じです。慣れれば3時間で計算して予想光熱費も
わかるので是非取り組んでいただきたいです。

さて今日は吹抜けに付き物のような大開口について考えてみます。

大開口のある住宅を設計するときに注意したいことが3点あります。
①日射熱
 大開口にもれなく付いてくるのが太陽光の日射熱です。夏は蒸し風呂
 のようになる部屋を経験していない方はいないでしょう。この日射熱は
 庇や外付けブラインドなどで遮蔽することが大切です。

 庇の幅は出幅は朝から夕方までの太陽の動きを考えて設定しなくては
 いけません。夏至の太陽高度を基準に出幅を決めてしまうと8月中旬
 以降から9月の陽射しは遮蔽できません。ですがあまりで幅を長くして
 しまうと取り込みたい冬の陽射しが入り難くなってしまいます。

 東京では窓下から庇までの高さの1/3の出幅を基準にしましょう。
 それでも9月の陽射しは100%遮蔽できないので、簾やよしず、外付け
 ブラインドなどで遮蔽が必要です。

②明るさ
 大開口からは多くの太陽光が入ってきて室内を照らします。光の強さ
 を示す照度(ルクス)で光の強さは分かりますが、照度が高いからと
 いって明るく感じるとはかぎりません。

 明るく感じるかどうかは、照度だけでなくコントラストにも大きく左右
 されるからです。太陽光はそのままでは明るすぎるため、部屋奥は
 暗く感じてしまうこともあります。

 大開口の部屋を実体験して、仕上げの素材や色でも変わる感覚を
 知り設計すべきです。

③コールドドラフト
 大開口は冬にも注意が必要です。窓の断熱性能は壁の1/7くらい。
 窓で冷やされた空気が重くなって降下してきます。これをコールドドラフト
 といいます。

 これを防ぐには窓単体で処理しようとすると最低でもアルミ樹脂複合
 サッシ+Low-Eペアガラスが必要です。サッシだけでなくカーテンや
 障子・雨戸などの複合性能でコールドドラフトを抑制すようにすれば
 いいでしょう。

今日はここまで。
大開口を用いた空間をつくりたい、と思った時に窓の断熱性能や正しい
日射遮蔽方法を知っていれば、住環境性能を損なうことなく理想の空間
を実現することができるのです。

次回は通風について考えてる予定です。

■エコハウスの真実
1.住まいは夏を旨とすべし? 1
2.住まいは夏を旨とすべし? 2
3.ハウスメーカーの取り組み
4.ハウスメーカーの取り組み 追記
5.設計事務所の省エネ住宅1
6.設計事務所の省エネ住宅 2
7.設計事務所の省エネ住宅 3
8.設計事務所の省エネ住宅 4
9.工務店のエコハウス
10.空気は熱を運ばない
11.気密が必要な理由 1
12・気密が必要な理由 2
13.気密が必要な理由 3
14.気密が必要な理由 4
15.気密が必要な理由 補足
16.吹抜けに適した冷暖房機
17.冷暖房費を知るには
18.Q値とμ値って何?
19.Q値から暖房費を算出する 1
20.Q値から暖房費を算出する 2
21.μ値から冷房費を算出する
22.大開口の注意点

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断熱・気密など住環境関係情報
新アトリエ建設プロセス
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