2010年 9月の記事一覧

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10年09月21日 04時41分46秒
Posted by: macchan
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屋根を葺き替える工程は大きく4つ、
屋根むくり、簀の子かけ、
茅ふき、肩切りに分けられます。

前回は屋根むくりまでをご説明しましたが
これは、屋根を支える合掌の点検、補強でしたね。

それが終わると次は簀の子かけ。
これは、葺き作業の際に、
茅が合掌の内部に踏み込まれないようにするため、
屋根全体に簀の子をかけるという作業のこと。

これが終わると、いよいよ茅ふきが始まります。
束になった茅を多くの人達が
次々と手渡しをしながら、
下から上へと順番に葺き上げていきます。

この茅ですが、大屋根では1万束以上、
これは4トントラック20台以上に相当するという
莫大な量が必要となるのですが、昔は自給自足。

山の焼畑で栽培して地元でまかなっていましたが、
今ではそれだけの茅を栽培する人手は、
当然ながら望むべくもなく、
近隣の村々から購入してまかなっているとのことです。

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こうして、多くの人々の協力と材料によって
吹き終わった屋根に、最後の重要な作業が肩切り。

これは、合掌屋根の妻部分に鋏を入れて
切り揃える作業なのですが、熟練の技が必要で、
これによって、外観の見栄えを良くすると同時に
風から屋根を守る、つまり風を良く切るという
重要な役割があります。

こうして、茅葺きの屋根が葺き替えられるのですが、
1年以上の準備と多くの人達との作業を支える
この【 結 】という共同作業制度。

ここ白川郷の景観、いや生活文化を支えている
この仕組みも、白川郷以外の村々では
世代交代と共に薄れてきているのも
また、事実のようで、

こうした協力や茅が確保できないために
泣く泣く、鉄板で被われた屋根に
葺き替わっていくという所も多いのです。

今回、たまたま
茅葺き替えの民家を見ることができましたが
この民家では、専門業者の方々が
作業している風景の写真です。

こうした、伝統を今に伝えるのは
非常に大変な苦労です。

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10年09月17日 06時13分27秒
Posted by: macchan
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合掌造りを被う屋根というと、
皆さんご存じの茅葺き。
この葺き替えをおこなうために、
白川郷には結という独特の仕組みがあります。

これは、地域住民の労働力提供による共同作業制度で
昔から屋根に関わらず、生産や生活全般に渡る
重要な役割を果たしてきました。

現在は、住民の生活も多様化していることから
屋根の葺き替え作業のみに機能しています。

大きい屋根葺き替えでは
2~400人ほどの人手が必要で
これだけの人々が丸々1日かけてでおこなわれますが、
前日の作業も入れても2日で終わるというのは
ちょっと、驚異的です。
一説には費用換算で¥3000万とも言われます。

白川郷でも有数のお住まいの葺き替えが
NHKドキュメンタリーで放送されましたが、
まず、準備だけでも約1年前から行われます。

親族による寄合に始まり、
約1万2千束の茅の準備と熟練経験者を中心に
当日の屋根葺きにあたる役割や配置、
また、当主が屋根葺きへの参加を頼みに
一軒一軒の家を廻る<結願い>。

こうした周到な準備と住民同士の協力によって
大規模な葺き替えが、たった2日で終わるのです。
屋根を葺き替える工程は大きく4つ、
屋根むくり、簀の子かけ、
茅ふき、肩切りに分けられます。

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まず、最初に行われる屋根むくりについて。
これは、古くなった茅をめくり取り、
合掌だけの状態にする作業です。

ここで、骨組みを点検し、
清掃したり、合掌のズレを直したり、
前回説明しましたマンサクという蔓で
結び直したりして、下地づくりを
しっかりおこなっておきます。

これが、翌日におこなわれる茅葺きをスムーズに
進めるための重要な作業となるわけです。
これらの作業は、主に親戚や組内でおこないます。

次の日の茅葺きの作業では、
ボランティアの人々と共に、
一気に大屋根を葺くことになります。

その辺りは次回にして、
ちょうど白川郷で小さな茅葺きが
おこなわれていましたので、
その写真を最後に。

これも、結構大きいのですが
白川郷の中では小さい部類なのです。
そして、最初の写真にある家が、
江戸後期の建築で最大規模となる和田家です。

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10年09月14日 06時07分01秒
Posted by: macchan
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白川郷の景観を象徴しているのが
300年近くも住み継がれている
合掌造りと茅葺き屋根。
今回は合掌造りについてお話ししましょう。

大切妻の屋根は、そのすべてが小屋裏となっていて、
そこは何層にも区切られ、
おもに養蚕、つまり生糸をつむぐ元となる
カイコの育成場となっています。

この大きな小屋組みが合掌造りであり、
その下、つまり1階の軸組みによって
部屋割りされた部分が居住区となっています。

つまり、上(小屋裏)と下(1階)では、
まったく違った構造となっていて、
その昔は、1階の軸組みを大工が
小屋裏は、村民の手で造っていたとのことです。

また、その中には、牛馬の飼育室や作業場なども
含まれていますので、
いかに、大空間が形作られているかが分かります。

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中に入ってみると、
居間や食堂の中心に必ず囲炉裏が
設置されていることに気がつきます。

この囲炉裏から出る煙は、
天井の穴や隙間を通って、
小屋裏の隅々まで行き渡るようになっていて
養蚕部屋の暖房と
屋根の構造材である丸太をいぶして、
木材の保護するという二役をになっています。

この太い丸太は合掌桁と呼ばれ、
これを正三角形に幾層にも組むことで
重心を左右に分散した、安定した構造となります。

この外側に横木や縦木を通して
骨格を造りますが、その部材同士を結びつけるのは
マンサクと呼ばれる柔軟性に富んだ蔓性の木を
もちいて縛り付けられていて、
これは年月を経ることに
締まってくるようになっています。

その他にも、車知栓(しゃちせん)と呼ばれる
木製のくさびなどが使用され、
釘や金物が一切使われていないにもかかわらず、
非常に強固な構造体が造られて、
数百年の風雪に耐えている、
まさに、先人の知恵の結晶なのです。

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10年09月09日 03時39分04秒
Posted by: macchan
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ドジョウすくいの踊り『安来節』で有名な
島根県安来市にある足立美術館。
http://www.adachi-museum.or.jp/ja/garden.html

美術館でありながら周囲に6つの庭があり、
それぞれに庭を内部の窓を
額縁代わりにして、まるで絵画のように
見せる手法で、有名です。

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1998年創刊のアメリカの庭園専門誌
「Journal of Japanese Gardening」。
http://www.rothteien.com/

日本、アメリカ、オーストラリアの
専門家が毎年数百にも及ぶ
日本各地の庭園を視察して
「日本庭園ランキング」を決めています。

足立美術館は、この「日本庭園ランキング」にて
桂離宮や二条城などをおさえて
2003年から7年連続日本一の評価を受けています。

地方美術館でありながら、世界に発信する・・・、
こちらも、日本美の再発見です。

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10年09月08日 06時00分23秒
Posted by: macchan
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八条宮初代智仁親王と二代智忠親王によって、
1615年頃から約40年を費やして
八条宮家の別荘として造られた桂離宮。

簡素にして、明快な建築と庭園は、
日本建築の不朽の名作として、来日したドイツの建築家
ブルーノ・タウトによって賞賛されました。
その書院の雁行した特徴的な配置計画は、
それぞれの部屋からの月見を考えたものといわれ、
高床式の構造は、桂川の氾濫に備えて、
床下の防湿と通水を考慮するなど、
実用性と美観が一体となっています。

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また、その庭園の自然石・樹木・畳石などの配置に、
西欧手法の遠近法・見透線に影響を受け、
こちらも、明快なデザインの新しい
造園手法た取り入られています。

また、松琴亭の襖や床の間で使われている
青と白の市松模様は、目にも鮮やかな配色で、
見る人に斬新で、かつ清新な印象を
与える空間となっています。

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桂離宮の見学には、事前に
宮内庁HPで予約する必要があります。
皇居、京都御所、仙洞御所、修学院離宮も、
同様な措置がとられています。

桂離宮の全体・部分解説は、
下記のページにある施設案内ビデオからご覧ください。
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/katsura.html

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