山岳地での建築では、それに関わる設計者を筆頭に

施工店、職人、最終的には事業主に至るまであるマナーが必要です。

そのマナーとは、建築行為によって少なからず阻害される、

自然の流れを最小限に食い止めなくてはいけない、ということです。


その一つに、自然地形、地面の傾斜やうねりの尊守です。

自然地形は人間がそのエリアに入り込む以前の何万年という

歳月の集積の上に形成された必然の姿です。

これを人間の勝手でいじくり回してはいけない、というマナーです。


建築を傾斜面に沿って設計、建設することは技術のいることです。

なんの躊躇もなく地面をカットして平に造成し、設計、建設の都合を優先することは

間違いだと思うのです。


強い傾斜を背後にもつ写真の建築は

表流雨水や伏流水を受け流すためにR状にしています。

木造の居住部はRC造のピロティーで持ち上げた2階です。


マナーは同時に重要なデザインプログラムでもあります。