久し振りに山に行った。
九州では数少ない1700m峰、米良三山の主峰である市房山である。
この山は熊本で言う球磨三山の主峰でもあり、熊本と宮崎の県境に独立峰として聳え、北の国見岳(1739m)、南の白髪岳(1417m)と共に九州東西の分水嶺を形成している。

 色々な紹介記事にもあるように、市房神社の参道沿いに聳える杉の巨木は、なるほど屋久杉に匹敵するのではないかとも思える。このほか手付かずのブナや欅の巨木が残り、原生林の迫力を十分に堪能することが出来た。

 3合目の市房神社を過ぎた頃から、何か低い周波数の鳥の羽音のような、地響きのような不思議な音を聞いていた。「何の音だろう?」と思っていたのだが、6合目辺りにさしかかった時その正体は判った。鹿の発する警戒音だったのである。時々「フィイッ」とか「ピー」とかいう感じの鳴き声を発しながら、急斜面をいとも簡単に走り登って行った。3頭の家族のようである。

 7合目辺りより登山道は次第に凍った残雪に覆われるようになり、滑らないように気を遣う。アイゼンを付ける程ではないので、そのまま登っていった。
樹林帯を抜け、視界が広がるあたりまで登っていくと頂上は近い。あまり冷え込んでいる訳ではないが、9合目から頂上にかけて樹氷がついている。
温暖化の影響か次第に雪も少なくなり、樹氷を見る機会も少なくなってきたようだが、やはり冬山は樹氷が無いと何となく寂しい。

 以前、北の国見岳に登った時は、樹氷で縦横の峰々が白銀に輝いていたが、しばらくの間に温暖化も進んだのであろうか。
久し振りの冬山は、以前にも増して大自然の尊さを教えてくれたような気がする。

まさき設計