時にはこういった真面目なお話もいいではないですか。

 近頃、家を建てている現場で施主さんからよく聞く言葉で、「ここ以外に狭いんですね。」とか「以外に広いんで、びっくりしてます。」といったことを言われて、こっちが「あ、そうなんですか。」と、それこそ意外に感じてしまうことがあります。

 当然ながら設計の打ち合わせの段階では、色々なスケール -簡単なスケッチとか、その打ち合わせている室の広さとか天井の高さ、タタミの寸法など- を駆使して説明をし、施主さんにはそれなりの理解をしてもらってはいるのですが、実際に家が建っていくのを目にすると、やはり頭で描いていた空間の広さとは、やや違って感じるようです。

 こっちでこれはあまりにも広すぎ、あるいは狭すぎ、と感じた時は、それぞれ説得をして僕の感覚で調整をするのですが、やはり異なる生い立ちで身に付けてきた感覚というのは、まったく同じという訳にはいきません。

 それでも何とか感覚を共有しようと、様々な努力はする訳です。
それは主に施主さんの家族を僕なりに理解しようとすることで、仕事にはじまり、趣味とか、好きな食べ物、好きな映画とか現在興味のあること、将来の夢や子供さんの学校でのクラブなど、それこそ何でもが住まいを考えていく上での大きな「ヒント」になるのです。

 これは僕が「心の師」と仰ぐ、故宮脇檀さんの教えでもあるのですが、彼は住まいの設計に際し、施主家族と過ごす時間は長ければ長いほど「いい家」が出来ると信じていました。
僕もその考え方には共感していますが、現実の打ち合わせでは時間に制約が出来ることは免れません。もっとも仕方のないことではありますすが。

 まぁ、施主と設計者の相互理解、ひいては価値観の共有がどこまで出来ているか、ということが「住まいづくり」には大きな影響を与えるということですね。

そして、明日も終わりのない戦いは続くのであった・・・・。

 まさき設計