ここ2日で、塗装職人の心意気に触れる出来事がありましたのでご紹介します。

窓の枠や家具、ドアなど、塗装は最後の仕上げ。
塗装職人の腕の良し悪しがその出来栄えを決めます。
それまで大工さんがどんなに丁寧で良い仕事をしてくれていても、
塗装の腕が悪いと、最後にがっかり・・・ということになりかねません。

日本の消費者は均一な仕事が大好きで、ちょっとした色ムラなどにもクレームになりがち。
木の目を均一に印刷(!)した、シート貼の既製品の扉が大流行しているのもうなづけます。
これでしたら、消費者も安心?!工務店も塗装のクレームが無くなるし、施工は簡単だし・・ラクチン。
これが、高度成長期以降の日本の住宅の現場です・・。

しかしながら、設計者としては、木が本来持っている不均一な木目を生かして仕上げたい。
しかしながら、素材の特徴を生かして上手に仕上げるのは、職人さんの腕しだい・・という面もあり・・
本当なら、設計者おかかえの腕の良い塗装職人を、毎回現場に投入すれば良いのでしょうが・・
そこまでの予算のある現場はまず無いし・・。
初めて組む工務店には、とにかく塗る前の下地の調整を念入りに!とお願いするしかありません。

塗装当日は現場に立ち会えず、翌日確認に出かけたA現場では・・
絶句。あり得ない!!状況が・・・
下地がボソボソの状態で、そのまま塗ったものですから・・まったくひどい状態。
現場監督を呼び出し、怒り心頭!!です。

現場監督もさることながら、これを塗った塗装職人の意識を疑いますね。
職人としてのプライドというか、心意気はないの!?よくこんな恥ずかしい仕事を平気でするもんだ。
でも、こんな職人さんを育ててしまったのも、結局我々消費者が均一なシート貼の方を好み、
塗装職人さんの仕事を激減させてしまったからなんです・・・現場の数が少なければ、職人は育ちません。

そして翌日出かけたB現場。スーパーの会議室を保育室にコンバージョンした現場です↓

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手前子供用手洗い(黄緑色の部分)の左奥が受付の作業デスク。
このカウンターの塗装で、塗装職人さんから嬉しいアドバイスをもらいました。

ここの現場は、本当に小さな工事でしたので、知り合いの塗装職人を直接投入。
塗装前のカウンターはかなり表面がざらついていましたが、いつもの職人さんなので安心して依頼。

塗装後すぐに電話があり、
『塗装が乾くと表面にまたざらつき感が上がってくるで、上から軽くペーパーをかけたい』とのこと。
それだけのためにまた来ていただくのも悪いし(一日人工の手間賃しかお支払いしていないので)、
設計者みずからその作業やりましょうと申し出て、仕上げのコツを教わりました。

紙ヤスリの裏!で、軽くこするとのこと↓

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『なーるほど!!』 表のヤスリ面でこすったら、傷がついてしまいます。
ヤスリの裏面には紙が張ってありまして、ヤスリの凸凹が少し感じられる程度。
このほのかな?凸凹で表面を滑らかにする、というわけです。

うーん、見違えるような手触りになりました。
途中、その職人さんから何度も電話が入り、『どうか・・?』と心配そう。
設計者でうまくできなかったら、現場に来てもらう約束でしたから。
でも大丈夫。バッチリな仕上がりとなりました。

自分が関った現場の仕上がりに最後まで責任を持つ、そんな職人さん、大事にしたいですね。